第一章
[2]次話
ユニオンジャック
ユニオンジャックは言わずと知れたイギリス即ちグレートブリテン及び北部アイルランド連合王国の旗である。
この旗がどうやって誕生したかは歴史にある通りだ。
「イングランドの旗、スコットランドの旗に」
「アイルランドの旗を合わせた」
「イギリスを形成している四つの国を合わせたんだ」
「イギリスは四つの国から形成されているからな」
「連合王国だからな」
「それであの旗だ」
こう口々に話される。
「それが表されているんだ」
「イギリス国王は四国それぞれの王である」
「そして四つの王国が一つになっている」
「それを表した旗だ」
「紛れもなくな」
「イングランドにだ」
この国にというのだ。
「スコットランドにだ」
「そしてアイスランドだ」
「今は北部だけだがな」
南部は独立してアイルランド共和国になっている。
「そしてウェールズだ」
「その四つの国だ」
「それ等からなるんだ」
こう話される、これはイギリスの国内でも同じだ。
自分達の国が四国から成っていてそれぞれの国が存在していて国旗にも反映されていることはよく認識されている。
だが、だった。
オーソン=ニコル、ウェールズ出身で今はロンドンのカレッジで学んでいる彼はふと気付いた様に言った。蜂蜜色の短い髪の毛に長方形の顔を持つ青い目の大柄でラグビーをやっているだけあって見事な体格の青年だ。
「ウェールズの国旗ないよな」
「いや、それ言うとな」
イングランド出身のトーマス=クローズが応えた。黒髪をロングにした黒い目と細長い顔で一七五位の痩せたロッカーの様な外見の青年だ。
「もうな」
「どうしようもないか」
「前にその話あっただろ」
「ユニオンジャックにウェールズどう入れるかか」
「真ん中にドラゴン入れたりしたよな」
ユニオンジャックにというのだ。
「そうもしたな」
「そうだったな」
ニコルもそれはと応えた。
「そういえば」
「何か日本で滅茶苦茶に遊ばれてな」
「凄い色々作られてたな」
「そうなったしな」
「ウェールズとかか」
「そうした話はな」
「しないことか」
「ああ、ちょっとな」
「もうそれ言ったらあれだろ」
今度は北アイルランド出身のヘンリー=ウェルズが言ってきた。茶色の髪の毛を奇麗にセットし眼鏡の奥には知的な緑の目がある。一七六程の引き締まったスタイルでスーツを着ている。
「ァイルランドは南北でな」
「北と南でか」
「そっちの関係もあってな」
独立したアイルランドと、というのだ。
「もうね」
「それを言うとか」
「本当にな」
それこそというのだ。
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