第三章
[8]前話 [2]次話
ヘルメスが愛を語る言葉も聞こえた、それに応えるうら若き声も、その声を聞いてそうしてだった。
アポロンは遂にだ、従神達に言った。
「間違いないな」
「はい、ヘルメス様はですね」
「そうだ、純粋にな」
「ある方を愛しておられますね」
「それがわかった、館の中は見ていないが」
そこにあるヘルメスの具体的な様子をというのだ。
「しかしな」
「それでもですか」
「真実はわかった」
まさにというのだ。
「だからな」
「それで、ですか」
「認める、あの者もな」
ヘルメスもというのだ。
「純粋に誰かを愛することがある」
「嘘を吐かれる方でも」
「そうだ、いい意味でも悪い意味でも知恵が回りな」
策略にも長けているがというのだ。
「嘘も吐くが」
「誰かを純粋に愛することもですね」
「ある」
こう言うのだった。
「確かにな」
「あの方でもですね」
「そうしたこともある、ではな」
従神にあらためて話した。
「オリンポスに帰ろう」
「そうされますか」
「そしてだ」
アポロンはさらに言った。
「このことは特にだ」
「言われないですか」
「言うこともない」
特にというのだ。
「人の恋路のことなぞな」
「そうですか」
「それを言えば私もだ」
アポロンは笑って自分のことも話した。
「何かとな」
「ありますか」
「そなたも知っておろう」
「言うこともないかと」
従神も笑って応えた。
「そのことは」
「そうだな、オリンポスでこちらで何もない神はな」
「あまり、ですね」
「いない、我が姉妹達とだ」
アテナそしてアルテミスと、というのだ。
「叔母上のな」
「ヘスティア様ですね」
「あの方位だ、だから言うとな」
「大変なことになりますね」
「だから言わない、そういうことでな」
「オリンポスにですね」
「帰るぞ、そして何でもなくな」
「ヘルメス様ともですね」
「会うとしよう」
こう言うのだった。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ