第二章
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パンは暫く女女神だけでなく人間にもニンフにも言い寄ることはなくただ森や山で自分を信仰する牧童や旅人達と遊び楽しく過ごした、だが。
ある日のことだった、緑の膝までのさらりとした髪に細めの顔に切れ長の流麗な緑の瞳と小さな唇に木の色の肌と葉の色の服を着た森のニンフにだった。
そっとだ、こう言われた。
「お慕いして宜しいでしょうか」
「えっ、それってまさか」
「はい、ピテュスといいますが」
ニンフは名乗りもした。
「パン様を心からです」
「慕ってなんだ」
「その気持ちを抑えられず」
「それでなんだ」
「この度こうしてです」
「告白してくれたんだ」
「左様です、それでお返事は」
ピテュスはパンをじっと見て彼に返事を求めた。
「そちらは」
「慎重にだったよ」
ここでパンはゼウスの言った言葉を思い出して述べた。
「お祖父様が言われたことは」
「慎重ですか」
「うん、そう言われていたけれど」
「では」
「これからお祖父様のところに行こう」
こうピュリスに話した。
「そうしよう」
「そうしてですか」
「ことの是非を聞こう」
「わかりました」
ピテュスはパンの言葉に頷いた、そうしてだった。
パンはピテュスを連れてオリンポスのゼウスの前に参上した、それで彼にことの成り行きを話すとだった。
ゼウスは顔を顰めさせてこう言った。
「わしにそれを言うか」
「駄目ですか」
「わしはいつも言い寄る側だぞ」
顔を顰めさせたままの言葉だった。
「告白されたことなぞだ」
「ないですか」
「そんなことは一度もない」
「そうだったのですか」
「そうだ、告白されたなら受ければいいだろう」
これが孫神への返事だった。
「そなたがな」
「それでは」
「よかったとは言うが」
それでもという返事だった。
「わしにこうした話は持って来るな」
「告白されましたが付き合えばいいかと」
「わしが言ったのは誰でも言い寄るなということでだ」
「告白されたことはないんですね」
「今言った通りな」
自分でというのだ。
「だからだ」
「この度のことはですね」
「そなたの好きな様にせよ」
こう告げた。
「よいな」
「じゃあ付き合います」
「勝手にせよ、人の恋路なぞどうでもいいわ」
「では私が浮気しますと」
今回もだった、ヘラは横から言ってきた。
「どうですか?」
「そなたが浮気?馬鹿を言え」
ゼウスはそのヘラに顔を向けて一言で言い切った。
「それは絶対にない」
「ありませんか」
「それこそ天球が落ちてもだ」
巨神アトラスが支えるそれをというのだ。
「それはない」
「確かに私はそんなことしません」
「そうだ、絶対にな」
強い断言だった。
「だからこうしたこ
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