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ネイティブラブ
第四章

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「よかったじゃないか」
「何か凄くです」
「とんとん拍子だな」
「そうなってます」
「そんなこともある」
「そうなんですか」
「ああ、それにな」
 田中は笑ってこうも話した。
「ここはタヒチだからな」
「それで、ですか」
「それでだ」
 その為にというのだ。
「皆のどかでそれでいてな」
「開放的ですね」
「奥さんになる人もそうだろ」
「はい」
 今泉はその通りだと答えた。
「本当に」
「だからだよ」
「それで、ですか」
「あっけらかんとしていてな」
 そうしてというのだ。
「明るくて自然なんだよ」
「自然ですか」
「案外こういうのがな」
「俺達みたいな流れが」
「自然かもな」
「日本みたいにごちゃごちゃしたのじゃなくて」
「好きなら好きでな」
 それでというのだ。
「付き合ってな」
「結婚して子供ももうける」
「それがな」
「自然ですか」
「そうかもな、それで結婚して日本にはどうするんだ?」
「会社にお願いしたらずっとここにいられますかね」
 考える顔になってだ、今泉は田中に尋ねた。
「そう出来ますか?」
「ああ、ここは日本と遠くてな」
「色々違いますし」
「観光で行くならいいけれどな」
 それでもというのだ。
「やっぱりな」
「仕事で滞在するならですね」
「長いし仕事だし」
「あまりいたいって人もいないですね」
「だから君がそう願いなら」
「それならですか」
「ずっといられるよ」
「じゃあそうします」
 今泉は笑顔で応えた。
「このタヒチで行きます」
「それで家族でか」
「仲良く暮らします」
「そうか、じゃあな」
「家族でずっといます」  
 笑顔で言ってそうしてだった。
 今泉はタヒチに残る道を選んだ、そしてヒナウと二人の間に生まれた息子の進一と共にこの島で仲良く暮らした。自然豊かな南国の島での家族との生活は彼にとってはこれ以上はないまでに素晴らしいものだった。


ネイティブラブ   完


                    2022・10・18
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