第四章
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「おおむね繁栄はしているとのことだ、そして文明の進歩はな」
「かなりですか」
「宇宙への進出もITも交通もな」
「発展していますか」
「産業自体もな、ユートピアではないが」
それでもというのだ。
「ディストピアでもだ」
「ないですか」
「そうした世界らしい」
こう話した。
「だからな」
「然程ですね」
「未来に悲観することはな」
「ないですか」
「よくあるな、未来はな」
「戦争や災害で崩壊して」
「碌でもないものになっている」
ローズに対して話した。
「よくな」
「そうしたものがですね」
「あるがな」
それでもというのだ。
「我々の未来はな」
「悪いものではないですね」
「全体を見るとな、そしてだ」
さらに言うのだった。
「二人はな」
「幸せになっていますね」
「そのこともよかった」
父として思うことだった。
「まことにな、だが」
「だがといいますと」
「時間を超えて逃げられるとはな」
二人の駆け落ちのことも言うのだった。
「流石にだ」
「思いも寄りませんでしたね」
「全くだ、タイムマシンが実現されていてな」
「それを用いて駆け落ちされますと」
「今の時間ではな」
その中ではというのだ。
「とてもだ」
「見付かる筈がないですね」
「そうだ」
まさにというのだ。
「それは不可能だ」
「左様ですね」
「これからタイムマシンが普及すればわからないが」
「今はですね」
「見付からない筈だ、世界は変わっていく」
ウイスキーを飲みながらこうも言った。
「どんどん新しいものが出て駆け落ちという古典的なこともな」
「その中で行われ」
「変わっていく、それもな」
「世の中ですか」
「そういうことだな」
ランカシャーは少し苦笑いになって述べた、そしてだった。
またウイスキーを飲んだ、そのうえでローズに言った。
「さて、ボトルをな」
「空けましたら」
「今夜はこれでだ」
「お休みになられますか」
「そうする、正直ほっとしている」
こうも言うのだった。
「娘達が見付かって二人の未来も人類の未来もな」
「わかったので」
「よかった、では二人にはな」
「やはり三年ですね」
「式はそこまで待てとな」
その様にというのだ。
「事実婚即ち同棲も認めるし孫の顔も見たいとな」
「お伝えしますか」
「それでいい、実験でどうなるかわからないタイムマシンまで使って駆け落ちしたらもうそれは本物だ」
命を懸けてまでならというのだ。
「そこまで許す、ではな」
「三年後のですね」
「式を楽しみにしている」
こう言ってだった。
ランカシャーはウイスキーの最後の一口を飲んだ、そうしてローズにも休む様に言って自身の寝室に入っ
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