第二章
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「まさにな」
「左様ですね」
「それで当家で探しているが」
「さて、何処に行かれたのか」
「それがわからない」
全くとだ、ランカシャーは忌々し気に述べた。
「これがな」
「イギリス国内にはですね」
「どうもな、では欧州ひいては」
「世界中で、ですね」
「探してな、そしてな」
そのうえでと言うのだった。
「何としてもな」
「お二人をですね」
「どんな手段を用いてもだ」
強い決意と共にだ、この言葉を出したのだった。
「見つけ出すぞ」
「そうしてですね」
「二人を連れ戻す」
こう言ってだった。
ランカシャーは侯爵家の全力を用いて二人を探した、だが。
二人は見付からなかった、それこそ世界の何処にもだ。それでだった。
ランカシャーは眉を顰めさせてだ、ローズに話した。
「死んだということもな」
「まさか」
「いや、考えたくはないが」
それでもとだ、自身の屋敷で言うのだった。
「それもな」
「有り得るとですか」
「思えてきた」
こう言うのだった。
「あの二人は心中なぞしないが」
「そうですね、お嬢様も」
それはとだ、ローズも答えた。
「そしてお相手のマクガフ博士も」
「二人共そうしたことはしないが」
「それでも事故等で」
「有り得る、誘拐なぞされていなければいいが」
「それは、ですが」
「希望を以てか」
「このままです」
「探すべきか」
「そうです、私が思うにです」
ローズはランカシャーに畏まって述べた。
「怪しいのはです」
「博士の大学だな」
「常に知らぬ存ぜぬを貫いていてです」
「あからさまに怪しいな」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「大学が怪しいです」
「それも博士が所属している工学部か」
「あちらを調べてはどうでしょうか」
「これまでも何度もそうしてきたが」
「重点的にです」
強い声でだ、ローズはランカシャーに話した。
「そうしましょう」
「あちらが一番知っているか」
「それは間違いないかと」
「わかった、ではな」
「あの大学の工学部をですね」
「徹底的に調べよう」
ランカシャーは決めた、それでだった。
侯爵家の総力を挙げて娘の恋人が所属している大学の工学部を念入りに調べた。それこそスパイ行為までさせてだ。
大学の理事長にも政治的圧力をこれでもかとかけてだった。
金も使った、そして遂にだった。
真相に辿り着いた、ランカシャーは工学部の研究所の地下にあるその施設を見て思わず唸って言った。
「まさかだ」
「極秘でした」
「まことに」
「このタイムマシンの存在は」
「国家機密でした」
「代々政界に議員を送り出していてだ」
ランカシャーは工学部の教授や研究員達に話した。
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