第二章
[8]前話
「アルバイトか在宅やってるでしょ」
「そうしたお仕事の方が確実だしね」
「そう、だからね」
「歌の方は趣味ね」
「完全なね、今からまた歌うわ」
今は休日で二人でお昼を食べながら話している、食べているのはスパゲティで彼女はボロネーゼ私はペペロンチーノだ。
「食べ終わったらね」
「そうするのね」
「ええ、またね」
「頑張ってね、そっちも」
「趣味としてね」
私は友人ににこりと笑って答えた、そうしてだった。
街頭、歩行者天国の人が多いところでギターを手に歌った、夕方まで自分が作詞作曲した曲にさらにだった。
他の人の曲も歌って演奏した、これは結婚するまで続けた。
結婚してからは路上で歌う暇はなくなった、すぐに息子が出来て忙しくなったからだ。けれどそれはそれでだ。
作詞作曲は続けていた、そのうえで。
「新曲あげたんだ」
「そうしたわ」
夫にユーチューブやニコニコ、チックトックに曲をあげてから答えた。
「今ね」
「そうしたんだね」
「ええ、今は路上では歌わないけれど」
「ボカロとしてだね」
「そちらでね」
その立場でだ。
「歌ってね」
「演奏してるね」
「何かね」
路上シンガーからボカロになってから思うことはだ。
「こっちの方が聴いてもらえる気がするわ、それに広告収入も結構入ってるし」
「OLの本職程じゃなくてもかな」
「ええ、それでもね」
仕事は出産と育児の間は休んでいたけれど落ち着いてから復帰した。
「結構ね、ネットの方がいいかもね」
「ボカロの方がだね」
「聴いてもらえるから。お金の方はあまり気にしてないけれど」
このスタンスは今も変わらない、夫もしっかりとしたところで働いていて安定した収入がある。お金持ちという程ではないが子供と一緒に暮らしていけている。ついでに言えば金魚も水槽の中で飼っている。
「街で歌うより聴いてもらえてるから」
「いいんだね」
「ええ、だからこれからはね」
「ボカロでだね」
「やっていくわ」
こう言ってそうしてだった。
私は一家の主婦として家事をはじめた、晩ご飯を作って夫それに息子と一緒に食べた。
OLと主婦そしてボカロとして生きていたが悪くなかった、路上シンガーをしていた時も楽しんでいたけれど今はボカロの方が個人的にはいいと思った、そしてまた作詞作曲をして歌ってネットにあげようと思った。
SINGER 完
2022・9・28
[8]前話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ