第三章
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「かなり飲んだので」
「そうだね、僕もね」
「いや、しかしここで鬼のお話しても」
「出ないっていうんだ」
「鬼なら瘤取り爺さんとか」
この童話を出した。
「一寸法師とか」
「どれも鬼出るね」
「桃太郎とか。けれど大阪には」
「鬼出ないっていうんだ」
「そうですよ、それで鬼のお話をしても」
それでもというのだ。
「別にです」
「青行燈も出ないんだ」
「そうですよ」
絶対にというのだった。
「じゃあ私ダンまちソードオラトリオまで全巻を」
「いや、それ持ってない?」
「アニメ四期まで観て面白いって思いまして」
それでというのだ。
「原作読みたくなったんです」
「そうなんだ」
「じゃあお願いします」
「あんた負けたよ」
だがここでだった。
言い合う二人の後ろから声がした、そして。
その後ろにだ、ふとだった。
黒ではなく青い影がすうっと出て来た、影はすぐに青い着物を着て額の両端から角を生やした黒く長い髪の毛で切れ長の目の美女になった。その手には行燈を持っている。
その女がだ、楓に言ってきた。
「私が出たからね」
「っていうと」
「そう、私が青行燈だよ」
女は楓に笑って答えた。
「その心斎橋に出る妖怪だよ」
「鬼のお話をしていたら」
「あんた実際に一寸法師とか話したね」
「鬼が出る」
「それも鬼の話だからね」
それでというのだ。
「私が出て来たんだよ」
「いや、本当に出たんですね」
「そうさ、あとあんた大阪は妖怪や幽霊の話が少ないともね」
「言いました」
楓も否定しなかった。
「私インディアンと同じですから」
「嘘吐かないんだね」
「そうですから」
こう言うのだった。
「言ったことは認めます」
「そうだね、しかしね」
「それは違うんですか」
「そうさ、大阪も歴史があって」
青行燈は楓にさらに話した。
「昔から人が沢山いるからね」
「人がいるとですか」
「その裏に妖怪がいるものだよ、そして魂が幽霊だからね」
幽霊の話もするのだった。
「それでだよ」
「妖怪や幽霊は大阪にもですか」
「多いんだよ」
「そうなんですね」
「そしてね」
青行燈は笑ってだ、こうも話した。
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