第五章
[8]前話
「あんな漫画みたいに巨人にいるとか」
「そんなのないわ」
「というかね」
寿はこうも言った。
「大リーグボールっていうけれど」
「あの漫画の魔球ね」
「そう言うなら」
「さっさとメジャーに行けよね」
「巨人なんかにこだわらないで」
「そうすべきよ」
千佳も言い切った。
「本当にね」
「思えばおかしな話だよ」
「大リーグボールとか言ってるのに」
「巨人にこだわるのはね」
「それも身体痛めるだけの練習ばかりして」
この作品の練習だの特訓だのは実はそうしたものが見受けられる、うさぎ跳びもそうだが大リーグ養成ギプスも然りだ。
「何になるのよ」
「その通り、大谷選手はもう」
寿は断言した。
「あんな漫画も超越してるよ」
「そうしてるわね」
「これだけの人は」
「これからもメジャーで活躍して欲しいわ」
「僕は心から思うよ、凄過ぎるよ」
先程のホームランを脳裏に思い出させつつ話した。
「あんな体勢で打つし」
「それも二打席連続スリーランって」
「しかも一六〇キロ以上投げて変化球も半端じゃない」
「足も速くて守備もいい」
「そんな嘘みたいな選手はだよ」
それこそというのだ。
「これからもね」
「メジャーでやって欲しいわ」
「これから何処まで凄くなるか」
「見ていきたいよ」
寿は微笑んで言った、そして。
試合が終わるとだ、千佳の前に来て自分もカルピスを飲みつつ言った。
「完敗だよ、しかしうちの守備は」
「まだまだっていうのね」
「もっと改善しないと」
さもないと、というのだ。
「百勝出来ないよ」
「優勝とは言わないのね」
「優勝は間違いないからね」
妹に不敵な笑みで言った。
「だからね」
「それでなの」
「目標は百勝だよ」
「ソフトバンクのオーナーみたいなこと言うわね」
「ソフトバンクはシリーズで倒すよ」
「言うわね、今年もカープに負けるでしょ」
「負けないよ、今年こそは」
「阪神優勝ね」
「百勝して。その為には」
まさにというのだ。
「守備をね」
「もっとよくしないとっていうのね」
「そうだよ、もっとね」
こう言ってだった。
寿は今はカルピスを飲んだ、試合が終わって言うことはそれだった。そして一杯終わってから自分の部屋に入って勉強をした、夜はそれから寝て朝はデイリーを読んでカープの情報をチェックしている妹にまた阪神の話をするのだった。
バケモノを前にして 完
2023・3・28
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