第百三十七話 邪神、封じられるのことその四
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そうして相殺してからだ。あらためて言ったのだった。
「今の弓は下手をすればだ」
「私を射抜いていたか」
「右目に当たっていた」
夏侯惇のだ。その右目をだというのだ。
「危ういところだった」
「油断大敵か」
「そうだ。くれぐれも気をつけてくれ」
姉を心から気遣う声でだ。妹は言ったのだった。
「姉者に何かあっては悲しむのは私だけではない」
「そうだな。華琳様もだな」
「そういうことだ。華琳様を悲しませることだけはだ」
「してはいけないな」
「その通りだ。頼んだぞ」
「わかった。ではな」
夏侯惇も微笑みだ。そのうえでだ。
大刀を振るいだ。戦場を駆けつつだった。
己を守ってくれた妹に感謝していた。彼女の右目は守られたのだった。
顔良は巨大な鎚で敵を吹き飛ばしながらだ。文醜に尋ねた。
「ねえ、麗羽様は?」
「ああ、今曹操さんと一緒にいてな」
「また陣頭指揮なのね」
「そうだよ。そうしてるよ」
「やれやれ。相変わらずね」
そのだ。袁紹について呆れた顔で言う顔良だった。
「前に出て何かあったら取り返しがつかないのに」
「だよなあ。けれどそれがな」
「麗羽様よね」
「そんな麗羽様だからあたし達もお仕えしてるしな」
「そうなのよね。あれでいいところが多いから」
短所も目立つが長所も多い、それが袁紹だった。
それでだ。文醜もだ。
巨大な剣を振るいだ。また言うのだった。
「じゃあこの戦い終わったらな」
「何するのよ」
「麻雀しような」
明るく笑ってだ。それをだというのだ。
「斗詩もやるよな」
「私あまり麻雀は」
「何だよ、知らないのかよ」
「他に麻雀できる娘いないの?」
「いや、結構いるけれどな」
彼女だけでなかった。麻雀好きは。
「陳さんだってそうだしな」
「他にも女の子でもよね」
「そうそう、何故か一杯いるんだよ」
「どうしてかわからない位によね」
「桃色何とかってやつのせいらしいな」
「桃色って?」
「いや、あたいもよく知らないけれどな」
「けれど麻雀なのね」
「それをやる世界もあるらしいんだよ」
こう顔良に話す文醜だった。
「どうやらな」
「そうした世界って大抵負けると」
それを聞いてだ。また言う顔良だった。
「脱ぐのよね」
「そっちは脱がないらしいぜ」
「それだったら行きたい様な」
「だよな。あたい麻雀には自信あるからさ」
それでだとだ。文醜は明るい笑顔で言う。
「この戦い終わったら麻雀やるぜ」
「文ちゃん、その発言は死亡フラグだから」
ここで顔良の目はじとっとした細いものになった。
その目で文醜を横目で見つつだ。小さくした口で言ったのである。
「どうなっても知らないわよ」
「げっ、じゃあ今正念場だしま
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