第一章
[2]次話
沖縄にある危機
沖縄の話を聞いてだ、そこに出張に行く畑中弘雄長方形の日に焼けた顔で明るい目に小さ目の唇と短い黒髪を持つ一七一位の引き締まった体格の彼は一緒に出張に行く上司の若林和幸に話した。
「あの、あそこは」
「君はいい印象がないね」
「課長もですよね」
穏やかな顔で細い目と唇を持つ白髪頭を真ん中で分けた彼に問うた、背は同じ位で痩せている。尚白髪であるがまだ四十代になったばかりである。
「それは」
「よく言われてるね」
若林はこう返した。
「基地のことは」
「国際情勢を考えたら」
畑中は真面目な顔で答えた。
「必要ですよね」
「そうだね」
「それでああしてです」
「文句ばかり言うのはだね」
「運動家ばかりいて」
それでというのだ。
「ああして騒いでばかりなのは」
「あれが沖縄のイメージになってるね」
「知事も」
県政のトップである彼もというのだ。
「運動家の活動を止めるどころか」
「応援しているね」
「基地の前に陣取って」
そしてというのだ。
「やりたい放題ですよね」
「テントの中にずっと住んでまでして」
「あの、北朝鮮の工作員いますよ」
畑中はこのことを指摘した。
「絶対に」
「ハングルでの抗議のプラカードあってね」
「韓国語で言ってたり」
「昔の知事さんのブレーンに主体思想研究所にいる人いたよ」
「それで真っ黒じゃないですか」
それこそとだ、畑中は言った。
「もう」
「うん、運動家って元々ね」
「そうした人ばかりですよね」
「そうだよ」
「そんなところに出張ですよ」
畑中は嫌そうに言った。
「北朝鮮がどんな国かなんて」
「言うまでもないね」
「はい、基地も考えてみたら必要で」
「基地いらないなら代案あるか」
「なくせなくせでやりたい放題で」
「基地の前で暴れてね」
「野生の猿の群れみたいに」
それこそというのだ。
「そんな連中を野放しにする知事さんといい」
「いい印象がないね」
「はい、自然はよくても」
「そうだね、しかし沖縄に行けばわかるよ」
若林は畑中に達観した様に話した。
「実際にね、実は基地以上にね」
「沖縄は危ないですか」
「うん、そのことを知ることにもなるし」
だからだというのだ。
「今回の出張は有意義なものになるよ」
「仕事以外にも」
「そうだよ、いい思いはしなくても」
それでもというのだ。
「行く価値があるよ」
「そうですか。それじゃあ」
「沖縄にね」
「行かせてもらいます」
こう話してそしてだった。
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