閑話
それぞれの思惑入り交じる
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「どうしたぁ?シリルたちが帰ってきたのか」
「いえ」
「シリル様たちはまだお見えになられておりません」
「じゃあ何をそんなに慌ててーーー」
まだ船の到着には時間がかかることは理解していた。しかし彼らの様子を見ると何かが起きているのとは明白だった。それを訪ねようとしたところ、彼の言葉を遮るように次々に話し始める。
「妖精の尻尾のナツ・ドラグニル様たちが目を覚ましたとの報告がジュラ様から入りました!!」
「ウルフヘイム様もまだ動けませんが、意識を取り戻したとのことです」
「!!」
その報告に驚愕した彼は目を見開く。そのまま彼らの肩に手を乗せると、優しい声でねぎらいの言葉をかけた。
「お前たちが協力してくれたおかげだな、感謝する」
「いえ・・・」
「そんな・・・」
照れ臭そうにしている彼らを一目した後、青年は森の方へと目を向ける。そこに微かに見えるのは、黒装束を着た男だった。
「このタイミングで全員が目を覚ましたということは・・・流れが変わったということか、あるいは・・・」
他者から姿を見られないように木に寄りかかりながら隠れている彼は腕を組み、思考している。今は果たしてどちら側が優位にいるのか、考えているようだ。
「まぁ、俺はそんなことはどうでもいいんだがな」
わずかに見えた口元が笑みへと変わる。それは仲間たちの生還を喜ぶものではなく、何か別の思考が考えられるような雰囲気を感じさせた。
「俺は約束さえ守ってもらえればそれでいい。そのためなら、お前たちの"遊び"にも付き合ってやる」
王国の兵隊たちにバレないようにカミューニへと視線を送る男。それには彼も気がついているようで、小さくタメ息をついていた。
「どうされました?カミューニ様」
「なんでもねぇ。とにかく、シリルたちが来るまで俺も待つから、どこか宿取ってくれ」
「それならこちらに取ってあります」
案内をする兵士の後ろに付いていく。彼はその間、これからのことをいくつか候補をあげて考えていた。
(ナツたちが起きたならすぐにでも行かせるべきか・・・しかし久々に動くんじゃあリスキーすぎる。何かもっと別の依頼でリハビリさせるべきか)
そう考えているうちに、彼は一つの依頼を思い出した。彼らの誰を行かせるべきか迷っていたが、これ以上の適任者はいないと笑みを浮かべる。
(雑魚狩りになるかもしれねぇが、背に腹は変えられねぇ。あいつらには少しでも強くなってもらわねぇとな)
そう考えたカミューニは宿に着くとすぐさま通信用の魔水晶を起動させる。そこで繋がったジュラとメルディに新たな指示を与えたのだった。
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