閑話
それぞれの思惑入り交じる
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楽しげな笑みを浮かべている。
「・・・」
その様子を見ていた男はそれを怪訝な目で見ていた。まるでゴミを見るかのようなその冷酷な瞳は、果たして何を考えているのだろうか。
その頃妖精の尻尾では一つの変化ぎ起きていた。
「ナツゥ・・・」
眠っている四人の一人、桜髪の青年の顔の横に座り込み彼をじっと見つめている青い猫。その顔はやつれており、目の下のクマも濃くなっていた。
「ハッピー、さすがに寝なきゃダメよ」
「このままじゃハッピーまで倒れちゃうわ」
彼のその姿にミラとリサーナが心配して声をかけるが、彼は首を振りその場から離れようとはしなかった。
「オイラ、ナツが起きるって信じてるから。きっとすぐに起きてくれるって」
「ハッピー」
彼らが昏睡状態に陥って数日が経過している。その間彼はほとんど寝ず、食事もほとんど取れていない。そのわずかな時間さえも彼らのそばから離れたくないのだ。
「カミュから連絡は?」
「何も。シリルとウェンディ、大丈夫かしら」
彼らと共に行動していたものの、意識をなんとか取り戻したシリルと彼らを連れ帰ってきてくれたウェンディ。その二人も依頼からなかなか帰ってこないとあり、ますます不安が募っていく。そんな時だった。
「んん・・・」
一人の青年の身体が大きく動いたのだ。
「ナツ!!ナツ!!」
それにいち早く気付いたのは彼の相棒。彼は青年の頭に手を置き懸命に揺らしていると、こちらを向いた彼の目がゆっくりと開いた。
「いてぇぞハッピー、どうしたんだ」
長い眠りについていたためにいまだその目は完全には開ききっていない。しかし、確かに彼は意識を取り戻した。それを見たハッピーは涙を流し、彼の顔にしがみつく。
「うわああん!!ナツゥ!!」
「おい、いてぇぞ、ハッピー」
まだ身体は全然動かないために彼を振り払うことはできない。しかしその様子から何かが起きていたことは彼も察することができたため、これ以上何かを言うことはなかった。
「んん」
「うっ」
「ううん・・・」
そして彼に続くように、その隣で眠っていた三人も順に目を開いていく。
「エルザ!!」
「ルーシィ!!」
「グレイ様!!」
すぐ近くにいた仲間たちが目覚めた三人に駆け寄る。中でも水色の髪をした女性はまだ自由に動かせない青年の身体を潰してしまうのではないかというほど強く抱き締めていた。
「ジジィ!!ナツたちがーーー」
静まり返っていたギルドの中から響き渡る歓喜の声。そしてこの吉報は、彼らだけに届けられたものではなかった。
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