第十話 英雄もまたその五
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「ゼウス様そして他の神霊の方々もです」
「弁えてるんやな」
「あの、例えばです」
宿屋のおかみが言ってきた、やはりドワーフである。
「ゼウス様がイシュタル様との間にです」
「メソポタミアの恋愛の女神様やな」
「他にも色々司っておられますが」
戦いも娼婦も司っている、この女神は実に多情であり多くの恋人を持っていたと言われている。こうした性格がアフロディーテにも影響を及ぼしたという。
「あの方とです」
「ゼウス神が出来てやな」
「お子が生まれたりしますと」
「何かおかしいな」
「そうですので」
「さしものゼウス神もか」
「他の神霊の世界ではです」
そちらではというのだ。
「飲んで食べて踊られても」
「浮気とかはせんか」
「そうなのです、そして人界でもです」
「浮気はせんか」
「司っているものを動かされていても」
それでもというのだ。
「この世界では神霊の方々は人界の人とはそうした関係を持たないこともです」
「決まってるか」
「そうなのです」
「成程な」
「神話やと無茶苦茶やからな」
シェリルもこのことを話した。
「ギリシア神話なんか」
「女神でも人でもニンフでもですね」
「相手が人妻でもな」
ゼウスはというのだ。
「平気でな」
「浮気をされますね」
「それで子供もうけるさかいな」
「ですがそれはです」
「こっちの世界では絶対にないか」
「それぞれの神界のことで」
それでというのだ。
「そして私達はイスラムの世界で」
「イスラム教でそうした話はな」
「ないですね」
「ペリとかジンでもな」
それこそとだ、シェリルは話した。
「ないな」
「人は人ですね」
「そやな」
「キリスト教世界と人についての考えは違いますが」
それでもというのだ。
「そうしたことは全くです」
「ないな」
「ペリ、天使と人もです」
「キリスト教ではそうした話あるけどな」
天使達が人間の女の色香に惑わされ交わりその間に巨人達をもうけ彼等自身は堕天使となったという話である。
「けどな」
「イスラムではです」
「全くないな」
「そうですから」
それ故にというのだ。
「このことは神界によって違います」
「神様が浮気をしたりとかは」
「あるのはギリシア、北欧にです」
それにとだ、宿屋のおかみは話した。
「メソポタミア、ケルト等ですね」
「そうしたとこやとな」
「あります」
神や女神が人や妖精達と関係を持つこともがというのだ。
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