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おっちょこちょいのかよちゃん
271 黒魔術に対抗できるもの
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り、戦闘中である事を忘れてしまう程だった。

 本部の管制室にフローレンスが戻って来た。
「はあ、はあ・・・。高速で戻ってきてまいりました」
「フローレンス!」
「捕虜を解放させましたのは痛手ではありましたが、赤軍達は何とか遠ざけさせました。しかし、それはただの方便でしてまた別の作戦を立てますと思います。気を抜けませんね」
「そうか、また領土を取り返そうとするかもしれないね」
「ところで、今、気がかりな所はございますか?」
「ああ、実は山田かよ子君達藤木茂君救出班がラ・ヴォワザンという黒魔術を使う女と交戦しているんだ。そこには更にモンテスパン公爵夫人という女とも交えている」
「黒魔術ですと!?」
 フローレンスも黒魔術の脅威をある程度認知していた。杖の所有者達も一度は交戦しているとはいえ手強い事に変わりはない。
(山田かよ子ちゃん、乗り越えてください・・・!!)

 雪山のある方角へ一行が進んでゆく。その中に夫婦となった藤木とりえがいた。二人は馬車の中で談笑しながら進む。
「あそこに氷河があるんだ。スケートリンクみたいに氷が張っててあそこの雪や氷は溶けないんだ。だならいつでもスケートが楽しめるよ」
「凄いわね。溶けない雪って」
 藤木は到着が待ち遠しかった。
(さあ、りえちゃん、僕のジャンプやスピンを見たらなんて言うかな?)
 藤木は自分のスケート技術でりえを見惚れさせたり、りえと一緒に滑って楽しい一時を過ごす所を妄想した。

 かよ子の杖が白く光る。
「こ、これは・・・!?」
 かよ子自身でも何かが理解不能だった。
「これは・・・。そうか。黒魔術の反対・・・。いわば白魔術(しろまじゅつ)でしょう」
 法然が解説した。
「シロマジュツ?」
 高崎が聞いた。
「黒魔術が人を害するものであれば、白魔術は人に益をもたらすもの。ここから医学および化学的な物質の製造に繋がったのです」
「そんな事して!?何になるのかな?」
 ラ・ヴォワザンが能力を無効化させる毒を大量に散布した。ところが一切の能力が無効化されなかった。寧ろかよ子達の異能の能力(ちから)が強まっているとさえ思われた。その時、賛美歌を演奏しているかのようなオルガンの音色が聞こえてきた。
「な、あああ!!」
 ラ・ヴォワザンもモンテスパン公爵夫人も気が動転し始めた。
「す、凄い!」
 かよ子は白魔術の凄さに自分でも驚かされた。だが、途中で白魔術を不意に解除させてしまった。
「あ・・・!!おっちょこちょいしちゃった・・・!!」
 かよ子はおっちょこちょいをやってしまったと己を叱った。
「よし、皆の者、反撃の好機だ!!」
 次郎長が呼びかけた。
「よし、皆、全ての石を纏めて使うぞ!」
 大野はブー太郎、まる子に呼びかけた。
「うん!」
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