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俺様勇者と武闘家日記
第2部
第2部 閑話
勇者の女性事情
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存在していない。
 そんなわけで、平民の俺は幼い頃から貴族の令嬢ともよく顔を合わせていた。俺に一目惚れする同年代の少女は少なからずいたが、中でも一番情熱的だったのは、この国の王女であった。
 父である国王は娘に甘く、それは周囲にいる他の大人も同じだった。故に幼少から存分に甘やかされて育った深窓の令嬢は、俺と出会ったときには立派なわがまま王女に育っていた。
 ある日王宮で彼女は俺を一目見た途端、いきなり好きだと告白し、事あるごとに俺を呼びつけては、一日中連れ回して遊ばされた。最初の頃は何もわからず素直に従っていたが、徐々に彼女の自己中心的な言動に疑問を抱き、いつしか面倒だと思うようになった。彼女への好意は、最初から持っていない。時間とともに生まれてくるものかと思いきや、むしろ逆だった。
 そんな一方的な関係に転機が訪れたのは、俺が十二歳のときだ。一つ年上の彼女は、王女と言う立場もあり、貴族令息との縁談の話がちらほらと出ていた。当然ながら、平民である俺はこの中には入っていない。俺は心の底から喜んだ。
 だが、その状況に陥って焦ったのだろうか。それとも自分より年上の令嬢から知識を得たのだろうか。彼女はある日突然、城の誰もいない部屋に俺を連れ込み、既成事実を作ろうと強引に迫ったのだ。
 と言っても、普段祖父に鍛えられていた俺が少女に押し倒されたところで負けるわけはなく、少し抵抗すれば難なく逃れることは出来たのだが、女性に押し倒されたという事実と、今まで遊び相手として接してきた異性が急に『女』として態度を豹変してきたことが俺の中でコンプレックスとなってしまい、以来女性と極力接することを避けるようになった。とりわけアリアハンの王女のような性格の女性は、目を合わせるだけで過去の体験がフラッシュバックされてしまい、いつもの調子ではいられなくなってしまう。
 それでもピンク女やアルヴィスはあの王女とは違う。違うとわかってはいるのだが、どうしても一歩距離を置いてしまうのだ。
 だがほんの少しではあるが、あの間抜け女と出会ってから、人とのつきあい方、特に女性との接し方が変わってきたような気がする。……いや、これではまるで自分があいつの影響を受けてるみたいじゃないか。
「あっ、ほら、ミオの番が来たみたいよ!!」
 ピンク女がコンテストのステージを指差す。舞台に立ち、二人に着飾られた仲間の少女は、もはや一週間前とは比べ物にならない程激変していた。正直な話、アッサラームでその姿を初めて見たときは、思わず息を飲んだ程だ。もともと化粧映えする顔立ちだとは思っていたが、期待以上の出来だった。
 これならコンテストにも優勝できるのでは、そう期待していたのだが――。
「好きな食べ物は何ですか?」
「はい! えっと、お肉です!」
 その珍回答に、客席が笑いに包まれる。お
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