暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
3.5章
3.5−1:向けられる視線
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、ウィザーソードガンを構えながら進んでいく。また物陰から風船の怪物が出るかもしれないので、視線は常に忙しなく動き回る。
その彼の目が、中途半端に梱包を解かれた荷物を見つけた。
「んん? 何だこれ?」
「何でこんな、半端に開いた状態で?」
「もしかして荷下ろしする途中で騒ぎが起こったから?」
「にしたって普通は下ろした後で荷解きするんじゃないか? 中身は……」
もしやこの荷物の中に、この騒動の元となった何かがあるのではないかと颯人がそっと中を覗き込む。すると中には、岩と一体化した歯車の様な物が入っていた。颯人はそれを手に取り眺める。
「コイツは……?」
「あれ? それ、何処かで見た事ある様な……」
「見たって、テレビか何かで?」
「そう言うのじゃなくて、う〜ん…………あッ! 思い出した! 今度博物館で開かれる展示会、ギリシャ エジプト展のチラシだッ!」
響の言葉に周囲を見渡せば、なるほど運ばれていた貨物の中にはその類の年代物の美術品やらなんやらが見て取れる。
とは言えこれが今回の騒動の原因と言う訳では無さそうだ。しかしだとすると何故この荷物だけ梱包が中途半端になっているのかが分からないと、颯人が歯車を片手に考え込む。
次の瞬間、颯人は歯車を手放し虚空に向けて発砲した。
「とぉっ!? 颯人どうしたッ!?」
「脅かさないで欲しいデスッ!」
「……何か、ありました?」
突然の颯人の発砲に驚く奏達。颯人は彼女達からの問いには答えず、今撃った方を中心に周囲を注意深く観察した。
颯人がここまで警戒すると言う事はただ事ではない。透もそれに続き周囲を警戒するが、彼の危機感知センサーには何も反応しなかった。
「……?」
「透は何も居ないって言ってるぞ?」
「気の所為だったか? 今誰かの視線を感じた気がするんだけどな……」
気の所為だった……と言うだけでは納得できないのか、尚も颯人は周囲を警戒していたが、いつまでもここに居る訳にはいかないと溜め息と共に警戒を解くと歯車を荷物の中に戻し再び先へと進み始めた。奏達はその後に続く。
颯人達が居なくなった貨物室。先程彼らが立っていた、歯車の入った荷物の前に何時の間にか3人の人影があった。
「危なかったわね〜。まさか感付かれるとは思ってなかったわ」
「あれがサンジェルマンが目を掛けていると言う小僧なワケダね?」
「えぇ……」
人影は何れも女性であった。それぞれが特徴的な格好をした女性たちの中で、長い白髪を持つ女性は颯人達が去っていった方をジッと見つめている。
いや、正確には颯人を、と言ったところだろうか。
「大きくなったわね、あの子も……」
まるで何かを懐かしむように目を瞑りしんみりと呟くサンジ
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