暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
3.5章
3.5−1:向けられる視線
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れば膝がまだ恐怖の余韻で震えているのが丸分かりだった。

 そんな彼女を颯人が見逃すはずもなく……

「あ、クリスちゃん後ろッ!」
「うひゃぁッ!?」

 颯人が口にしたデタラメを信じて、恐怖に驚き透に抱き着く。その様子を見て颯人は腹を押さえて肩を震わせた。

「うくくくくくくっ!」
「揶揄ってやるなっての」
「イデッ!?」

 流石にクリスが可哀想になったのか、奏が颯人の後頭部を小突く。一方クリスは透だけでなく響と調から慰められ、漸く落ち着きを取り戻していた。

「大丈夫、クリスちゃん?」
「クリス先輩、あれは幽霊じゃないから大丈夫ですよ。切ちゃんも落ち着いて……」
「う〜ッ! あのペテン師、何時か絶対ギャフンと言わせてやる……!」
「怖かった……本当に怖かったデスよ」

 何はともあれ、正体不明の敵が出現したことは事実。なので奏が本部に通信しようとしたのだが…………

「旦那? あれ、旦那? 藤尭さん? 友里さん?」
「奏さん、どうしました?」
「おかしいな、通信機の故障か? 響、クリス、そっちの通信機は使えるか?」
「ちょっと待ってください…………ダメです、通信できません」
「こっちもだ。お前らは?」

 奏だけでなく、切歌や調、颯人達が持っている通信機も軒並み機能していなかった。偶然と言うには出来過ぎている。これはどう考えても何かにより通信が妨害されていると考えるのが普通だった。

「こういう時の魔法ですよっと」

 ここで颯人がテレフォンのウィザードリングでウィズに通信しようと試みる。電子機器ならジャミングで妨害されるだろうが、魔法に機械的なジャミングは通用しない。

 しかし…………

〈エラー〉
「おっとぉ?」
「駄目じゃねえかッ!」
「こいつは穏やかじゃねえな。多分この貨物室の中か、それとも船全体に結界の類が張られてるのかもしれねえ」
「もしくは、この靄みたいな物が関係している可能性も……?」

 あり得ない話ではない。この靄も、あの風船の様な敵の正体も判然としないのだ。

 ここで彼らは進退をどうするかで選択を迫られた。本部と通信が出来ない以上、これ以上先に進むのは危険を伴う。敵の存在も確認できた以上、ここは一度後退して弦十郎からの指示を仰ぐのが得策に思えた。

 しかし敵の正体が不明な状態で後退して、その間に敵が何か取り返しのつかない何かをやらかせばそれこそ目も当てられなくなってしまう。

 颯人と奏を中心に話し合った結果、このままさらに奥まで進む事を決定。せめて黒幕の手掛かりだけは掴んでから後退しようと言う結論に達した。

「んじゃ、先に進むか。ここから先は俺が先頭、奏が殿だ。奏、後ろは任せたぜ」
「あいよ!」

 先頭を行く颯人が
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