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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
3.5章
3.5−1:向けられる視線
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かっており先が見通し辛くなっていた。一瞬どこかで何かが燃えているのかとも思ったが、焦げ臭さは感じないので火事の類では無いらしい。と言う事は、これは火事とは関係の無い何かが原因で船内に靄が発生していると言う事。
これはどう言う事かと切歌が靄の向こうに向けて目を凝らしていると、彼女の目が不審な物を捉えた。
「――デスッ!? ししししらっ調ッ! あ、あそあそ……あそこッ!!」
「どうしたの切ちゃん?」
「調は何もみなかったデスかッ!? 今、あそこに何かがふわーって宙に浮かび上がってッ!!」
「ひッ!? ば、バカッ! 変な事言うなッ!! ど、どうせお前の、みっ、見間違えだろッ!?」
切歌が何かを見たと騒ぎ、クリスがそれに怯えたりと俄かに騒がしくなる。そんな中で、颯人は仮面の奥から鋭い視線を靄の中へと向けていた。
「奏……」
「あぁ……」
「……」
いや、颯人だけではない。奏と透も何かに気付いたのか、靄に向けて警戒する目を向けつつ武器を手に取った。
透はクリスの肩をそっと抱きしめ、彼女の口元に人差し指を持って行き落ち着かせようとした。
「んぇっ? と、透……?」
透の様子が変わっている事に気付いたクリスが目を丸くしている横で、颯人はガンモードにしたウィザーソードガンを靄の中に向けて発砲した。数発の銃弾が靄の中、貨物室に鎮座する貨物を避けてその裏で蠢くもの達に直撃する。
するとそれを合図にしたように、物陰や奥から次々と黒い風船の様なものが姿を現した。それらには明らかに実体がある様に見えた。
「安心しな。どうやら幽霊の類じゃないらしい」
「相変わらず何かは分からないけど、攻撃が当たるなら倒せるって事だ!」
「それなら!」
颯人と奏に続き、響もその黒い風船の様な存在に攻撃を開始した。切歌は未だ怯えており、クリスも透に抱き着いているが、彼女らの援護がなくてもこの程度なら3人だけで対処は可能だった。
結局貨物室に現れた正体不明の風船の様な怪物は、颯人と奏、響の3人の手で全て倒される事になる。
「ふぅ……やれやれ。何とか片付きましたね」
「数が多いだけで大した事無かったな」
「クリスちゃ〜ん、切歌ちゃ〜ん。もう終わったから大丈夫だよ〜」
クリスと切歌はあの後も怯えており、戦いには参加せず透と調により宥められていた。そして戦いが終わった今、漸く彼女らもあの風船の様な物が幽霊の類ではない事が分かり安心して前に出てきた。
「ふ、フンッ! べ、別に怖がってた訳じゃねえぞッ! う、後ろから襲われたら大変だから下がってただけで、幽霊じゃない事位最初から分かってたっつうのッ!」
「そんな震えた足で言われてもねぇ……」
必死に強がるクリスだったが、奏が視線を下に向け
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