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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
3.5章
3.5−1:向けられる視線
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に入ると、内部は広くそこかしこに木箱や梱包された美術品の類が固定されていた。
「はぁ……船の貨物室って、広いんだねぇ」
「薄暗くって不気味デスよ。なんか出そうな雰囲気デス……」
「ば、バカヤロウッ!? へっ、変な事言うなッ!!」
船と幽霊は切っても切れない。しかも今この船は怪物騒動で人っ子一人居なくなっている。もしその怪物とやらが幽霊の類であれば…………そんな事をうっかり想像してしまい、クリスは身震いして意図せず隣の透に寄り添ってしまった。恐怖を紛らわせる為にすり寄って来たクリスを、透は宥めるように優しく撫でる。
「この船、比較的新しいって話だから幽霊の類は出ないだろ。出るとしたら鼠なんかじゃないか?」
だと言うのに、颯人が余計なことを口走った所為で今度は透の方が体を強張らせた。そう言えば船には鼠もつきものだ。かの有名な映画タイタニックでも、沈没する船から逃げる鼠を船員だか乗客だかがついて行くシーンがあったのを思い出した。
「おま、馬鹿ッ! 変な事言うなよッ!」
「悪い悪い。いやでも現実的に考えれば幽霊よりは鼠の方が確率高いよなって」
「かもしれないけどさ……」
「ん? 透君、今足元に何か……」
薄暗い中、透の足元で何かが動いたのを見た気がした響が指を差すと、透はノーモーションで飛び上がりそのままクリスの腕の中に横抱きの形で収まった。突然の事態にクリスも理解が追い付かず、そのまま彼をお姫様抱っこしてしまう。
「先輩、それ逆なんじゃ……?」
「うるせぇッ!? お前も変な事言うなッ!!」
「ご、ゴメンね透君ッ!? 大丈夫、鼠なんかいなかったよッ!」
よく見ればそれは鼠などではなく、ただ何かのパーツが転がっていただけであった。波に揺られて動いたのだろうそれを、響の動体視力が目敏く見つけてしまったと言う話だ。
取り合えず何とか透を宥めて落ち着かせてから颯人達は再び前進を再開した。
騒動の影響で電源が落ちたのか、貨物室には非常灯以外の光源が無く物陰が見辛い。
「暗い上に物陰が多い。不意打ちに注意しないと」
「こういう時に使える魔法って何かないのか、颯人?」
「お任せあれ」
こういう時こそ魔法の出番。颯人は右手の指輪を着け替え、ハンドオーサーを二回反転させてから右手を翳した。
〈ルパッチマジック、タッチゴー! ルパッチマジック、タッチゴー! ライト、プリーズ!〉
颯人が魔法を発動すると、掲げられた彼の右手を中心に眩い光が周囲を照らした。その光により貨物室の中が見渡せるようになる…………と、思いきや――――
「あ? 何か靄が掛かってないか?」
「ホントデスね……これじゃあ明るくなっても先が見え難いデス――――」
貨物室の中には、何やら黒い靄が掛
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