第八十三部第三章 今だ目覚めずその七十一
[8]前話 [2]次話
「いつも思いますが」
「手がかかるな」
「そして時間も」
「そうだな、どうも」
タンホイザーはこうも言った。
「それがだ」
「いいのですね」
「時間も手間もかかる」
「そのこと自体が」
「じっくりと楽しめる」
それが出来るからだというのだ。
「だから私もだ」
「その趣味をされていますね」
「今もな」
実際にというのだ。
「楽しんでいる」
「左様ですね」
「若しもな」
「若しもとは」
「他の模型と同じ様にだ」
タンホイザーは手を動かしながら妻に話した。
「すぐに出来るなら」
「旦那様は」
「もうしなかった」
それならというのだ。
「この模型造りはな」
「普通の模型とは違い」
「そしてだ」
「時間も手間もかかる」
「それだけにだ」
まさにそれだけにというのだ。
「私はこの趣味を持っていてだ」
「楽しまれていますか」
「貴族の趣味というが」
「旦那様も貴族なので」
「貴族は趣味を持っていてだ」
それも複数なら尚よいとさせている、趣味は教養の一つであり貴族にはそれが求められるとものであるからだ。
「その趣味を楽しんでこそだ」
「貴族ですね」
「私はどうも」
タンホイザーはこうも言った。
「趣味がない様に思われる」
「それは私も聞いています」
「実は舞踏会は好きでない」
貴族の宴はというのだ。
「ダンスは踊れるが」
「それでもですね」
「評判もいい様だが」
それでもというのだ。
「しかしだ」
「お好きではないですね」
「子供の頃からな」
「そうなのですか」
「性分でない」
自分のそれではないというのだ。
「だからだ」
「お好きではなく」
「舞踏会に出ることはな」
「あまりないのですね」
「舞踏会に出るなら」
それならというのだ。
「フェシングや馬術に水泳にな」
「そしてですね」
「これだ」
瓶詰の船造りだというのだ。
「むしろな」
「そうなのですね」
「性分的にな」
「そうですか。そう言われますと私も」
「舞踏会はだな」
「好きでなく」
それでというのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ