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第十話 固絆その四

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「華があって」
「はい、勝っても負けても」
「もう何があってもですよね」
「華がありまして」
「素敵なチームですよね」
「東京に住んでいても」
 それでもというのだ。
「感じますね」
「阪神の素晴らしさは」
「観ていますと」
「本当にそうね、野球となると」
 嵐は日本酒を飲みつつ応えた。
「私もね」
「阪神ですね」
「ええ」
 まさにというのだ。
「本当にね」
「巨人以外のチームやとええけどな」
 空汰はそれでもと言った。
「やっぱりな」
「好きはチームはだな」
「阪神一択や」
 神威に答えた。
「あのチームが勝つだけでな」
「嬉しくなるな」
「わいもな」
「僕も野球は阪神で」
 玳透もだった。
「勝って欲しいですね」
「全くだ、しかしだ」
 神威はここでは困った顔になって述べた。
「どうもな」
「阪神は最近な」
「弱い」
 神威は一言で言った。
「やはりな」
「そうだね」
「何とかするにはな」
「それにはだね」
「かなりの人が必要だが」
「誰が必要かな」
「二人いる」
 神威は言った。
「俺が思うにな」
「その二人は誰かな」
「今必死に頑張っている野村さんが後事を託せるとなると」
 それこそというのだ。
「俺もな」
「二人しかだね」
「いない」
 そうだというのだ。
「思えるのは」
「それは誰と誰かな」
「西本幸雄さんか」
 神威は日本酒を飲みつつも真顔で話した。
「星野仙一さんだ」
「待って」
 嵐は二人の名を聞いてすぐに言った。
「お二人は」
「阪神とは縁がないな」
「ええ、全くね」
 そうだというのだ。
「そうよね」
「俺もそう思う、しかしな」
「阪神を救えるのなら」
「お二人しかいない」
 神威は嵐にも言った。
「俺にはな」
「そうなのね」
「どうしてもな」
 ビールの缶を飲みつつ話した、五〇〇のそれを。
「そう思える」
「そう言われると」
「どうだ」
「もうね」
 嵐は真面目な顔で答えた。
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