第一章
[2]次話
振られた直後に後輩と
池田直希はこの時付き合っていた彼女にこっぴどく振られた、面長で茶色がかった黒髪を短くしていてきりっとした小さな目と薄めの眉に優しい感じの口元で一七八位の引き締まった身体つきをしている。職業はサラリーマンだ。
会社帰りのデートの前にその彼女がよりによって自分の新たな交際相手を連れてきてそっけなくさよならと言われその彼氏に馬鹿にされたことを言われてだ。
二人が背を向けて去るのを呆然として見届けて暫くその場で立ち尽くしていたが。
ふらふらと家に帰ろうとした、その時に。
会社の後輩の河田真理愛、大きな黒めがちのきらきらした目とあどけない顔立ち、ピンクの小さな唇に色白で茶色の髪の毛をボブにした一五五位の背でスタイルのいい彼女から携帯に電話がかかってきた。
「先輩デートどうでした？」
「話してたっけ」
池田は真理愛に死んだ声で返した。
「そうだったっけ」
「はい、そうですけれど」
「そういえばそうかな、出社する時に」
「それでどうでした？」
「振られたよ」
一言で答えた。
「今ね」
「えっ、振られたって」
「新しい彼氏出来てその彼氏紹介されて」
そしてというのだ。
「さっきね」
「そうですか」
「何か凄いイケメンでいい服着た」
「お金持ちですか」
「そうだったよ」
「じゃあ今お一人ですか」
「うん、そうだよ」
「あの、今何処におられます？」
真理愛は池田に問うた。
「すぐにそっちに行けます」
「何で？」
「落ち込んでる時誰が傍にいた方がいいですよね」
だからだというのだ。
「それで、です」
「だからなんだ」
「はい、一緒に飲みましょう」
「断わる理由ないしね」
池田は落ち込んだままたた頷くだけだった。
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