第二章
[8]前話
「お野菜も果物も命じゃない」
「えっ?」
「植物もね」
こちらもというのだ。
「命あるわよ」
「言われたら」
「だから人間というか生きものはね」
この世の全てのものはというのだ。
「生きる、食べる為にね」
「他の命を奪うっていうの」
「そうじゃないかしら」
「そうなるかしら」
「今思ったけれど」
こう心優に話した。
「どうかしら」
「考えてみるわ、お父さんお母さんとお話してね」
「精進ものも健康的だけれど」
「それでもね」
「それじゃあね」
こうした話をしてだった。
心優は部活の後で実際に家で自分の両親と話した、そして。
次の日の朝だ、こう言われた。
「お父さんとお母さんにそう言われるとそうだって言われて特にお兄ちゃんにね」
「今大学生よね」
「お兄ちゃん今焼肉屋さんでアルバイトしてるから」
「それでなのね」
「まさにそうだってね」
その様にというのだ。
「言われたわ」
「そうだったのね」
「それで肉食べろってね」
「お兄さんにそうも言われたの」
「そうなの、それで私もね」
心優は忍にクラスで朝のホームルーム前に話した。
「確かにって思って」
「それでなの」
「ヴィーガン止めたわ、何でもお坊さんの生活もね」
生臭ものを一切食べないというそれもというのだ。
「真面目にやったら」
「栄養バランス悪いのね」
「そうみたいだしね、そもそも生きるってことは」
心優はさらに言った。
「忍の言う通りにね」
「食べるってことで」
「誰かの命を奪う、貰うことだしね」
「それでよね」
「もうね」
それこそというのだ。
「これからはお野菜に果物に」
「お肉もお魚も」
「皆食べるわ」
笑顔で言ってだった。
心優はこの日の給食の野菜炒めとご飯だけでなくだ。
鯵のフライも牛乳も食べた、どれも美味しく心優の糧となった。そして次第に体重も戻り体力もそうなった。以後彼女がヴィーガンを志すことはなくなった。
ヴィーガンの少女 完
2023・3・23
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