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星河の覇皇
第八十三部第三章 今だ目覚めずその六十五

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「彼等、連合はそうした」
「ならですね」
「我々が出来ない筈がないですね」
「左様ですね」
「そうだ、人間なら」
 それならばというのだ。
「出来ない筈がない」
「左様ですね」
「所詮同じ人間です」
 連合への偏見、敵意はあってもそれがない者もいる。そうした者の言葉だ。
「それならばですね」
「出来ない筈がない、ヒトラーは自分達の技術は日本には無理だと思っていたが」
「その実はですね」
「瞬く間に追い抜かされた」
「そうもなりましたね」
「私の祖国でもあるが」
 タンホイザーは今はドイツ人として話した。
「ドイツは当時技術大国だったが」
「その技術もですね」
「あえなく追い抜かされた」
「軍事のそれも」
「それは大戦後のことだが」
 ヒトラーのいた時代ではなかったがというのだ。
「しかしだ」
「老い抜かされたことはですね」
「事実でだ、当時でもだ」
「ドイツと日本を比較すると」
「実は国力は違っても技術の差はな」
「あまりなかったですね」
「ドイツは優れた戦闘機を持っていた」
 それがメッサーシュミットやフォッケウルフだ、どちらも大戦を代表する傑作であった。
「だが日本軍もな」
「零戦等を持っていましたね」
「海軍は零戦で陸軍も優れた戦闘機をだ」
 それをというのだ。
「持っていた」
「そうでしたね」
「それを見るとな」
「ヒトラーは誤っていた」
「そうなりますね」
「彼の欠点は人種的偏見だった」
「それがかなり強かったですね」
 このことは当時の基準でもそうであった、それが為にこの時代でも連合では批判される対象となっているのだ。
「どうにも」
「そうだ、その能力は高かったが」
「それにより相手を見誤る傾向がありましたね」
「そのことは否定出来ないな」
「ゲルマン人至上主義に則り」
「本来は社会主義だったが」
 彼が率いたナチスはドイツ国家社会主義労働者党だ、その政党名だけでなく政策も社会主義であった。少なくとも自由主義経済ではなかった。
「そこにだ」
「民族主義、人種主義を入れていた」
「それを社会主義と同じかさそれ以上に強くさせていた」
「それがヒトラーでしたね」
「そしてそれによってだ」
「日本を見誤っていましたね」
「彼等の技術をな」
 まさにそれをというのだ。
「全体的にはドイツは勝っていたかも知れないが」
「絶対のものではなく」
「既にドイツが敗れている部分もだ」
 そうしたものもというのだ。
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