第百三十五話 十三、知恵を出すのことその三
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「命を賭けないといけないけれど粗末にしたらいけないんだよ」
「命をですか」
「そういうことさ。誰も死んだらいけねえよ」
また言う漂だった。月に対して。
「皆生きてハッピーエンドを迎えないとな」
「ハッピーエンドとは確か」
「ああ、かがりちゃん達に教えてもらった言葉でな」
「アメリカか何処かの言葉でしたね」
「そうさ、英語でな」
「それでどういう意味なのでしょうか」
「大団円ってことだよ」
日本語ではそうした意味になるとだ。漂は月に話した。
「そういうことなんだよ」
「大団円ですか」
「ああ、そうだよ」
まさにそうだと述べる漂だった。
「だから皆生き残って最高の結末を迎えような」
「それができればいいのですが」
「できるさ、絶対にな」
ここでもだ。飄々としているがだ。
確かな声でだ。漂は言うのだった。
「これだけ凄い奴等が揃ってるんだ。絶対にな」
「そういうことだ」
まさにその通りだとだ。守矢も述べた。
そしてそのうえでだ。彼はまた妹に言った。
「命は賭けろ。しかし粗末にはするな」
「粗末には」
「そうだ。絶対にな」
「それがお父様の想い」
「私も楓もいる」
微笑みはしない。だがそれでも言うのだった。
「だからだ。必ずだ」
「私は生きられる」
「だから生きろ。絶対にだ」
こう言ってだ。守矢は月を止めつつだ。十絶陣を見ていた。
その十絶陣にだ。遂に人形達が入った。それを見てだ。
徐庶がだ。こう劉備に言った。
「いよいよです」
「遂に敵陣がどういったものかわかるのね」
「はい、中に入れば血水になるのはわかっています」
そのこと自体はわかっていた。死ぬということはだ。
だがどうして攻められるのかがわからないからこそ仕掛けている。それ故にだった。
人形達を陣に入れた。そしてその人形達を見て言うのだった。
「さて、それではです」
「あのお人形さん達がどう攻められるのか」
「それを見ましょう」
「けれど」
だがここでだ。劉備はだ。
ふと眉を潜ませてだ。暗い顔になりこう言った。
「若しも。陣の破り方がわからなかったら」
「敵陣がどういったものかわかってもですか」
「その場合はどうすればいいのかしら」
「大丈夫です」
だがここでだ。劉備に言って来たのは。
孔明だった。彼女は鳳統と共にだ。こう劉備に言うのだった。
「どういった陣かわかればです」
「必ずそこに付け入ることができます」
鳳統も言う。
「どういった陣かわかれば属性もわかりますから」
「その属性を衝けばいいのです」
「属性をなの」
「万物には属性がありますから」
孔明は学校の先生の様な顔になり劉備に話しだした。
「例えば火ですけれど」
「火、なのね」
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