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星河の覇皇
第八十三部第三章 今だ目覚めずその五十九

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「人類ではっきりわかる者は」
「使用しているアッディーン大統領だけでしょうか」
「今の時点では」
「そしてあの御仁の周りですか」
「それ位ですか」
「彼等はわかっているのではなく知っている、か」
 タンホイザーは自分の言葉をまずは訂正した。
「この場合は」
「わかっている、理解していることですね」
「それと知っていることは違いますね」
「ましてオムダーマン軍は開発しています」
「この場合は完全に知っていますね」
「その側にいますね」
「だから違う、ならだ」
 タンホイザーは己の言葉を続けた。
「あの国を抜いてだ」
「そしてですね」
「そのうえで、ですね」
「考えていくと」
「どうかというと」
「サハラだとティムールでだ」
 この国になってというのだ。
「オムダーマン軍でも真相を知らされていない軍の上層部の者以外だ」
「おそらく将官でもないとですね」
「あの兵器のことは知らないですね」
「そこまでの機密ですね」
「おそらくな、そしてマウリアと連合では」
 残るこの二国の名前も出した。
「わかっている者はおそらく一人だ」
「マウリアと連合ではですか」
「一人ですか」
「それだけですか」
「四兆三千億のなかでだ」
 連合とマウリア合わせてそれだけだというのだ。
「一人だ」
「ではその一人は」
「果たして誰ですか」
「誰になりますか」
「八条義統」
 一言でだ、彼は話した。
「彼だけだな」
「連合のあの貴公子ですか」
「連合屈指の企業グループの嫡子でもある」
「あの御仁ですか」
「忌まわしいですがエウロパ貴族の誰よりも気品があり優雅であった」
「あの御仁だけですか」
「私もあの御仁は好きではない」
 タンホイザーにしてもだ、八条を好きではない。エウロパから見て連合の国防長官しかも優秀な人物である彼なら尚更だ。
「だが優秀であることは事実だな」
「見事な辣腕です」
「優れた政治家です」
「だからですね」
「この件にも気付いていますか」
「既に」
「そうかも知れない、天才かというと」
 タンホイザーは戦術の天才と言われている、そのことを自分でもよく認識していてそれで言うのである。
「違うがな」
「軍事的天才ではないですか」
「あの御仁は」
「そうなのですか」
「戦術は専門外だ」
 彼の場合はそうだというのだ。
「むしろだ」
「それよりもですね」
「あの御仁はですね」
「政治家ですね」
「それも優れた」
「政治家の立場から軍を動かしている」
 それが八条だというのだ。
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