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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
魔法絶唱しないフォギアGX編
キャロルとエルフナインの穏やかな一日
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ルさん。では、早速始めましょうか?」
「あぁ、頼む」

 キャロルの姿を見たアルドは、彼女を伴って医務室へと向かった。エルフナインも資料作成の手を止めて急いでそれについて行く。

 向かった医務室の奥、集中治療の為の病室には、未だ眠り続けて起きる事のないハンスがベッドの上に横たわっている。キャロルはベッドに駆け寄ると、動かない彼の手を取りその手がまだ温かさを失っていない事を確かめるようにゆっくり撫でた。

「ハンス……」
「さ、今日も始めましょう」
「あぁ……」

 これから行われるのは、アルドによるハンスの治療である。
 先の戦いでハンスは己の想い出を大量に焼却し、生命を維持するだけで精一杯な状態にまでなってしまった。直後に颯人が無理矢理魔力を補充したおかげで、そのまま命の灯が燃え尽きる事は免れたが、それでもこのままだと残された想い出が燃えカスが尽きるように崩れて無くなり彼は死んでしまう。
 それを防ぐ為、アルドは彼と同じ時間を共有しているキャロルの協力を得て治療を行っているのだ。

「それでは、行きますよ」

 アルドがそう言うと、ハンスと彼の傍の椅子に腰掛けたキャロル、2人の頭に左右の手を翳した。その手の平に錬金術の紋様が浮かび上がり、アルドを通じて2人の脳が錬金術的な繋がりを持った。

「ッ……ッッ……」

 今行っているのは、端的に言ってしまえば想い出の共有。キャロルの中に残っているハンスとの想い出を元に、ハンスの中に残っている想い出を修復するのだ。それにより失われたハンスの想い出を取り戻す。例えるなら燃えて灰になりかけた写真の断片から元の姿を復元するようなものだ。
 当然この作業には繊細な操作が必要になるし、その為に莫大な集中力を要する。現に今もアルドの口からは声にならない呻き声が上がり、フードの下から見える口元には額から流れてきたのだろう汗が垂れてきていた。あれ程の技術と知識を有するアルドですら、汗を多量に流すほどの集中力。一体彼女の中でどのような処置が行われているのか、エルフナインには想像もできない。

 だが彼女は、傍から見える範囲で何か学べる事は無いかとアルドの様子をつぶさに観察した。例え見ているだけであっても、そこから学べることは何かある筈だと信じて。

 ハンスの治療に専念しているアルドは、そんなエルフナインからの穴が開くほどの視線に気付いていた。

「…………ッ、はぁ。はぁ、はぁ……」

 程無くしてアルドの手から紋様が消えた。作業が終わった事に気付いたキャロルは、アルドに身を委ねる意味で瞑っていた目を開き未だ眠ったままのハンスに落胆した様子を見せる。

「あぁ……」
「今日はここまでにしましょう。復元した想い出が定着するまでは時間が必要ですし」

 汗を拭いなが
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