第一章
[2]次話
蚊を馬鹿にするな
ある山のキャンプ地に来てだった。
日本に留学に来ているウィリアム=ジョンソンは一緒に来た友人達に強い声で言った、一九〇を超える長身で紺コツ隆々の体格で黒髪をドレッドヘアにした褐色の肌の男だ。出身はアメリカのマイアミである。
「蚊には気をつけよう、テントの中には蚊帳も張ってそれで蚊よけのスプレーも使って」
「徹底してですね」
「蚊は寄せ付けない」
「そうするんだな」
「そう、そして」
そうしてとだ、彼は部員達に話していった。
「自分を守るんだ」
「そうしないと駄目か」
「蚊については」
「本当に」
「幸い日本には蠍はいなくて」
そしてというのだ。
「怖い毒蛇もいないけれどね」
「蝮はいても人が多い場所には近寄らないし」
「それじゃあ安心だし」
「それなら蚊か」
「怖いのは」
「皆が集まっていれば熊も猿も寄り付かないしね」
人を警戒してである。
「猿にものを取られるのもね」
「こっちが気を付ける」
「しっかりと自分で持っておく」
「それで集まっておく」
「それでいいね」
「そう、そして」
それでというのだ。
「ここまできて一番気を付けるとなると」
「蚊だね」
「ジョンソンが言うには」
「それだね」
「うん、十二分に気を付けていこう」
十分でなくというのだ。
こうした話をしてゾンソンは率先してテントの中にも蚊帳を張って二重の備えをして蚊よけのスプレーも用いた、テントの端に蚊取り線香を置いて夕食の時にはいくつも置いて火を点けた程であった、だが。
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