第三章
[8]前話
「来ないわよ」
「そうですか」
「わざわざね、けれど本当にね」
「お姉ちゃんいじめられてないんですね」
「むしろいつも皆に悪いところがあったら注意してくれる」
「そうしてるんですか」
「だからね」
そうした風だからだというのだ。
「いじめられるどころかいじめを止めてくれてるのよ」
「そうなんですね」
「そのお姉さんを心配してくれる」
先生はこうも言った。
「いい妹さんね」
「いや、色々いい加減な」
「そう言わないの、心配してくれて来てくれて」
先生は恵美の知る厳しい姉の姿を出そうとした彼女に言った。
「駆け込んできてくれたでしょ」
「クラスに」
「そんな優しい妹さんよ、大事にしてあげて」
「大事にですか」
「そうしてあげてね」
「そうですか」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「姉妹でいてね」
「そうしないと駄目ですか」
「その人のいいところはね」
それはというと。
「しっかりと見て褒める、厳しいだけだとね」
「駄目なんですね」
「そうよ、三坂さんだって褒められたら嬉しいでしょ」
「はい」
琴乃もその問いには素直に頷いた。
「やっぱり」
「だからね」
「それで、ですね」
「ちゃんとね」
「人の褒めるところは褒める」
「そしてこうしたいい妹さんはね」
「大事にすることですね」
このことをだ、琴乃は今度は自分から言った。
「そうすることですね」
「そうよ、いいわね」
「わかりました」
琴乃は先生の言葉に頷いた、そうしてだった。
この時から恵美に対して厳しいながらもいいところは褒めてそのうえで彼女を大事にする様になった。それで二人は仲のいい姉妹になった。その間柄は二人が成長しお互いに家庭を持ってからもずっと続いた。
お姉ちゃんをいじめないで 完
2023・3・19
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