第二章
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「それは」
「そうなの」
「だから若しいじめられてるなら」
「まさかと思うけれど」
「あんた見てきたら?」
「そうね。そんな筈ないけれど」
全く信じていなかった、だが。
それでも気になったので放課後だった。
恵美は姉のクラスに行った、そして。
覗いてみると実際にクラスの黒板の前でだった。
何人ものクラスメイト男女に囲まれて何か言われてそのうえで俯いていた、その口調があんまりにも酷くてだ。
恵は本当にいじめられていると思った、それで咄嗟に。
クラスに駆け込んでだ、思わず叫んだ。
「お姉ちゃんをいじめないで!」
「えっ、恵美?」
「私のお姉ちゃんいじめないで!怖いけれどいいお姉ちゃんなの!」
「あんた何言ってるのよ」
琴乃は自分のところに来た妹にだ。
芽を瞬かせた、そのうえでこう言った。
「私がいじめられてるって」
「だって今」
「あのね」
姉は泣きそうな顔で必死に言う妹にだった。
笑ってだ、こう説明した。
「お芝居だから」
「お芝居?」
「今度うちのクラスで劇するでしょ」
「全校集会で」
「そう、それでね」
「お芝居をしてるの」
「その練習をね」
それをというのだ。
「していてよ」
「それでなの」
「私はいじめられる役でね」
それでというのだ。
「言われてるのよ」
「そうだったの」
「そうよ、最後はハッピーエンドになるから」
「いじめられなくなるの」
「そうなるからね」
「よかった、いじめられてなかったのね」
ほっとした顔での言葉だった。
「お姉ちゃんは」
「そうよ、しかしあんた何でここに来たのよ」
「お姉ちゃんがいじめられてるって思って」
「心配して?」
「気になって」
「それは心配してたからね」
若い奇麗な女の先生が言ってきた。
「つまりは」
「そうなります?」
「全く気にしていなかったらね」
それならとだ、先生は恵美に答えた。
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