第一章
[2]次話
お姉ちゃんをいじめないで
三坂恵美の姉琴乃は厳しい姉である、小学六年生で三年生の恵美から見れば非常に怖い姉であった。
両親が何でもないと思っていることでもすぐに起り注意してきた、背が高くすらりとしていて黒髪を後ろで束ね面長で切れ長の目と高い鼻を持ちきりっとした顔をしている。小柄で顔立ちやスタイルは似ているがおかっぱ頭にしていて穏やかな顔でおっとりした感じの恵美とは姉妹でも違う部分が多い。
だがある日恵美はクラスメイトにクラスでこう言われた。
「あんたのお姉さんいじめられてたよ」
「えっ、嘘」
その話を聞いてだ、恵美はすぐにこう返した。
「お姉ちゃんがいじめられるって」
「ないの」
「だってお姉ちゃん強いのよ」
姉妹喧嘩ではいつも一方的にやられている、勝ったことは一度もない。
「それに運動神経良くてお勉強だって」
「出来るの」
「テストの点いつもいいのよ」
姉妹だからよく知っている、尚恵美は普通位だ。
「気も凄く強いし」
「だかあなの」
「お姉ちゃんがいじめるなら兎も角」
そうした性格でないことも知ってのことだ。
「いじめられるとか」
「けれど私昨日放課後見たのよ」
「放課後?」
「お兄ちゃんにお家にこと伝えようってね」
そう思ってというのだ。
「六年のクラスに行ったら」
「あんたのお兄ちゃんも六年だったわね」
「ええ、あんたのお姉ちゃんとクラスは違うけれど」
「それでも同じ学園でね」
「それでね」
このことがあってというのだ。
「それでなのよ」
「その時になの」
「私見たの、あんたのお姉ちゃんのクラスでね」
「お姉ちゃんいじめられてたの」
「周りから酷いこと一杯言われて」
そうしてというのだ。
「先生にも言われて泣いてたわ」
「お家でそうは見えなかったけれど」
「家族には隠してるんじゃないの?」
こう恵美に話した。
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