第二章
[8]前話
藤原は弟の家に来るといつも半強制的に手荒いとうがいをさせられた、そのチェックも厳してついだった。
自宅でこのことを漏らすと妻の春子おっとりとした感じの顔で長い波がかった髪の毛を左右で団子にしている一六二位の背で露出はない服でもかなりの大きさの胸が目立っている彼女がこう言ってきた。
「麻里佳さんって子供の頃喘息だったのよ」
「えっ、そうだったのか」
「それでね」
その為にというのだ。
「志桜里ちゃんのこともあって」
「埃とかにはか」
「気を付けてるのよ、だからお家もいつも奇麗でしょ」
「そういえば」
藤原も言われて頷いた。
「そうだな、家中ピカピカだな」
「麻里佳さんいつも熱心にね」
「埃がない様にか」
「お掃除してるのよ」
「喘息だったからな」
「喘息は埃やお掃除してなくてダニが出てね」
「なることが多かったな」
藤原もこのことは知っていた。
「それでか」
「そうよ、だからね」
それでというのだ。
「あなたにも言ってるのよ」
「そうか、そんなこと知らなかったよ」
藤原は反省した様に述べた。
「じゃあこれからはな」
「気をつけるのね」
「そうするよ」
こう言ってそうしてだった。
彼は弟夫婦の家に行く時は自分の仕事のことも考えてだった。
手洗いとうがいを徹底した、服の埃を取ることもした。そうすると麻里佳も喜んで言ったのだった。
「そうしてくれて有り難いです」
「手洗いとうがいはだね」
「はい、よかったらこれからも」
「このことはだね」
「宜しくお願いします」
「そうさせてもらうよ」
お互い喘息のことは言わなかった、そこは気遣いと言うまでもないと思ってだ。そうしてであった。
藤原は志桜里と会う時もそして自宅でも帰ったら清潔にする様にした、仕事は汚れるものだがそうした、そして家に息子の颯太自分そっくりの彼が生まれてからそれは徹底した。喘息のことが頭にあったので。
喘息は怖い 完
2023・3・18
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