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障害者水泳
第一章

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               障害者水泳
 その話を聞いてだ、松山で老舗の旅館の若旦那をしている佐藤龍之介名前からは想像出来ない四角い顔で厳めしい顔に太い眉と黒く短い髪の毛に大柄の彼は妻の真彩に言い返した。
「大丈夫か?」
「ええ、ちゃんとしたコーチの人がいるから」
 小柄で細面で楚々とした感じの顔で黒髪を後ろで団子にしている妻は答えた。
「安心していいわ」
「そうか、けれどな」
「明音はよね」
「車椅子がないと動けない位にな」
「足が悪いから」
「だからな」
 それでとだ、夫は妻に話した。
「俺としてはな」
「けれどね」
「大丈夫か」
「そう、明音もしたいって言ってるし」
「それじゃあな」
「スイミングスクールに通わせてあげましょう」
 是非にというのだった。
「いいわね」
「確かなコーチの人がいるならな」
 夫も頷いた、そしてだった。
 明音母親がそのまま子供になった様な外見の小学四年生の彼女は毎日スイミングスクールに通う様になり。
 日々身体を動かし水泳の技術を上げてだった。
 やがて選手にまでなった、それを見て明音の妹で二人の下の娘である葵やはり母親そっくりの彼女もだった。
 水泳をはじめた、そして葵は父に家で言った。
「お姉ちゃん凄く速くて今度の大会でも期待されてるのよ」
「そうなんだな」
「ええ、私なんかよりずっと速いのよ」
「そうか、まさかな」
 龍之介は彼の話を聞いて言った。
「身体が悪いのにスポーツが出来て」
「選手になれるなんてよね」
「普通の身体の人よりずっと速いなんてな」
 妻に応えて言った。
「凄いな」
「パラリンピックもあるでしょ」
 妻は夫に微笑んで話した。
「身体が悪くてもね」
「スポーツが出来てか」
「そしてね」 
 そしてというのだ。
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