第九話 自然もありその五
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「そういうことやな」
「そやね」
綾乃は羅の言葉に頷いた。
「考えてみれば当然やね」
「ちんけな奴はもう入り口でやな」
「お帰りの場所やね」
「最初の関門でな」
その四霊獣達との戦いでというのだ。
「簡単にな」
「退けられて終わり」
「そやから人はおらんな、しかしな」
それでもとだ、羅は言った。
「この塔宿屋や道具屋があって」
「そして街もあるらしいで」
「人はおるな」
「敵としておらんだけで」
「そやな、しかしな」
「しかし?」
「敵でも人がおらんことはな」
このことはと言うのだった。
「寂しいもんがあるな」
「人がうち等だけやとね」
「どうもな」
その状況はというのだ。
「寂しいな」
「そうなん、羅君は」
「ああ、人はこの塔では我等だけか」
「そう思うとやね」
「寂しいな、まあ十人おったら」
羅は今度は笑って仲間達を見回して話した。
「寂しくないな、宿屋や道具屋には人もおるし」
「街行ったらやっぱりそこにはやで」
「人もおるな」
「街には人がおるさかい」
そうしたものだとだ、綾乃は笑って話した。
「ちゃんとやで」
「人もおるな」
「そやで、まあ悪い人がおらんとな」
敵として出る様なというのだ。
「思ったらええんちゃう?」
「そうした考えもあるか」
「そうちゃう?ほなね」
「先にやな」
「進んでいこな」
「これからもな」
羅は綾乃に微笑んで応えた、そうしてだった。
彼を含めた十人は無機質で光沢さえある金属の壁や床の迷宮を機械の人間や獣達を倒しつつだった。
先に進んでいった、そして次の階に行き。
今度はオーソドックスな石と煉瓦の階段を進んでいった、敵は今度は軍勢の様だったがその彼等はというと。
先程話していた人であったが芥川は彼等を見てわかった。
「ああ、この連中は神霊の手の者や」
「古代ギリシアの服でな」
施は彼等の服や装備を見て言った、見ればそうしたものだった。
「それで魚人とか水に縁のある種族ばかりやな」
「これはポセイドン神やな」
「ギリシアの海界から派遣されたか」
「そうした連中か」
「左様です」
十人いる戦士や魔術師の中から初老の鮫のマーメイトの武装した戦士が言ってきた。
「我等はトリトン様に仕えていまして」
「あの神様に言われてか」
「はい、この階段においてです」
「僕等と戦うか」
「試練として」
その一環としてというのだ。
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