エイプリルフール番外編 「夢」その1
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ツはっ!」
怒髪天を突く鬼の様な底冷えのする声に冷汗が流れる。
やっばっ!逃げるが勝ちか?これはちょっとヤバ目…
白眼を使いスイスイと人ごみをかき分けて逃げていき事なきを得たのだが、この事がまさかあんな事になって帰ってくるとは思いもしなかった。
俺が六歳になった頃、第三次忍界大戦の傷跡もようやく繕って来た頃に、木ノ葉の里を揺るがす大事件が起こった。
そう、九尾の襲来だ。
俺はこの事件の顛末を知っている。
この事件で四代目は九尾の半分を封印して死に、九尾の半分はナルトに封印される。
そしてナルトを助けたければここで四代目には九尾の半分を封印して死んでもらわなければならない。この結末は変えてはいけない。
「なんで、こんな日に限ってお使いに出させるかねっ!」
俺は焦りながら走っていた。ヒアシに所用を頼まれて木ノ葉警務部へと来ていた帰り道に九尾の襲来したのだ。
避難所にはまだ遠い。
「デカいっ…」
遠目に見た九尾はその巨体と禍々しいチャクラは周りに畏怖を与えるには十分で、その巨体で薙ぎ払われた街並み、尾獣玉の脅威はもう天変地異そのもの。
「俺だったら…」
倒せるだろうか?
仙術チャクラが練れると言っても技にキレは無く、また九尾を倒せる術など持っていない。
今は本当に逃げるしか出来ないのだ。
「弱いなぁ…」
ドドーンと瓦礫が舞い上がる。白眼を開眼していたおかげか何とか瓦礫にぶつからずに済んでいるが、早く避難所までたどり着かないとどうなるか分からない。
ドドーンッ
九尾の攻撃で瓦礫が舞い上がる。
「パパッ…」
白眼の視界に父を呼ぶ少女が写った。振り返らずに見れば、彼の半身はがれきに埋もれ、もう助からないだろう。
「イズミ、お前は逃げなさい」
厳格そうな父の言葉もどこか弱弱しい。
「おまえ、イズミを連れてこの場から逃げるんだ…」
「あんた…」
母親だろうか、その彼女に父親の彼が娘を連れて逃げるように説く。
「やだ、やだぁ…」
「行けぃ、イズミ、そして生きろっ!」
「っ!!」
だが無情にも落下してくる瓦礫の塊。
くっそ…見てしまっていなければ…見捨てるのか?
どうする…
逡巡するより先に体が動いてしまっていた。
落下する瓦礫に向かって右手を突き出す。ナツの突き出した右手に乱回転するチャクラの塊が瓦礫を粉砕させた。
「きゃっ」
「行くぞっ!」
俺は少女の手を取ると走り出す。その後ろから彼女の母親も駆けてきていた。
「待って、お父さんがっ!」
ドドンとさらに降りかかる瓦礫。
ナツは力の限りで少女を連れて走る。
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