エイプリルフール番外編 「夢」その1
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件でヒザシが殺された…訳では無かったのだ。
ヒナタの誘拐事件は起こった。
ああ、確かに俺はちゃんとヒナタを飛雷神で飛んで助けたさ。
でもそれじゃ意味がなかった。意味がなかったんだ。
相手にしてみれば木ノ葉にいちゃもんが付けられればよかった。
ヒナタの誘拐に失敗しても任務で外交の為に訪れていた忍頭が死ぬ事。そこまでが計画だったのだ。
たとえほぼ自害だったとしても…その事実をもってヒナタを誘拐した雲隠れの里の里長の雷影は日向家宗主の死体をよこせと言って来たのだ。自陣の事は棚上げして、だ。
そこまで白眼の秘密が知りたかったのだろうか。
しかし忍界大戦、九尾襲来と里の力が落ちていた木ノ葉としては今戦争する訳にはいかなかったのだろう。
考えて、考えて、どうにか戦争を回避しようとして…結局は自身が死ぬと宗主ヒアシが決断した所、ヒザシが自ら名乗りを上げた。
ヒアシの双子であり、遺伝子的には同一で、さらに日向の呪印が刻まれているので死ねば白眼の秘密を封印する。
うってつけではあったのだ。
宗主であるヒアシは最後まで反対していたが、それをヒザシがヒアシの意識を狩る事で封殺した。
「戦争なんてしたくない。でも…あなたが…あなただけが死ぬ必要があるのですか?」
ヒザシが自害する寸前にナツが吐いた言葉だ。
「子より早く死ねるのだ。忍としては上々の生き方だろう。それも、ネジに少しであっても平穏な日常を与えてやれるのだ。願ってもない事だよ」
「宗家が憎くないんですか?」
「…そうだな…俺は今でもどう思っているのか。自分でさえ分からない。でも、最後は自分の意志で、自分の兄と、自分の子の未来を守れるのだ、後悔なんてあろうものか」
このまま自身の闇が強まればどうなるか、それを考えると恐ろしいとヒザシが言う。
「そうだな…死に行く俺を哀れと思うのなら…そうだな、ネジの事を頼むよ。あいつは日向の才能に恵まれた子だ。宗家に産んでやれなかったことを不憫に思うほどにな」
「出来るだけの事は、してみます」
としかナツは答えられなかった。
多感な時期に親が宗家の為に死ぬ。そんな事実を彼が受け止めきれるだろうか。
「頼むよ」
と、ナツにはそれだけを言うとヒザシは屋敷の奥へと自ら歩いて行った。
出来るだけの事、とは言ってみたものの。ヒナタに懐かれたナツにネジはあまり寄ってこない。
近づいても避けられるだけだった。
坊主憎ければ、と言う事なのだろう。そういう状況にイライラしてナツはネジを呼び出すとゴチンとネジの頭にゲンコツを落とした。
「いっ…あが…」
頭を押さえてうずくまるネジ。
四歳児にこのレベルのゲンコツは少々大人げなかった
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