二人ならきっと
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動いた。
ウェンディside
手の色が変色し明らかに骨に異常を来しているのがわかるシリルの手。でも、今まで彼自身が放った攻撃でそんなことになったところを見たことがなかった私は困惑していました。
「なんで・・・」
相手の腕が折れているのはわかる。それならなぜ彼の手が砕けたのか考えていると、私はあることに気が付いた。
「シリルって、滅悪魔法とドラゴンフォースを一緒にやったことなかったはずじゃ・・・」
悪魔を滅する魔法とドラゴンの力を扱えるとされるドラゴンフォース。これを二つとも彼は自分のものにしていましたが、それを同時に発動しているところなんか見たことがありません。
「もしかして・・・」
シリルは以前、滅悪魔法により思考が"悪"に支配されかけたことがあった。そしてドラゴンフォースは爆発的な力を手にする代わりに身体に大きな負担がかかるため、私もスティングさんたちもあまり使っていません。
「身体への負担が限界を超えているんじゃ・・・」
一年前、皆さんの魔力を与えられティオスへと挑み、勝利を納めたシリル。しかし彼はその直後、その反動で記憶を失ってしまいました。もしあの時と同じように彼の身体に負担がかかっていて、そのせいで自身の放つ攻撃に耐えきれていないのだとしたら?
「シリル・・・死んじゃうかも・・・」
そう考えただけで涙が溢れてきました。まだそう決まった訳じゃないのに、がむしゃらに攻めていく彼の姿を見ていると、嫌な予感が拭いきれません。
「シリル!!」
動きが悪い脚を一度叩きぶつかり合う二人の元へと駆けていく。その間もシリルはとにかく攻めていきますが、その身体からは次々に異変が出てきていました。
目から流れる赤い液体、折れていたのは手だけだったはずなのに、腕も少しずつ変形しており、明らかに異常を来しているのが目に見える。
そして極め付きは彼の左腕から伸びる滅悪魔法の模様。それがドラゴンフォースのオーラに合わさるように黒い魔力を放っており、彼の魔力の性質が変わっているように感じました。
「このっ!!」
「ぐっ!!」
あまりの猛攻に一度体勢を立て直そうと天使は折れている腕を反対の腕で抑えながら凪ぎ払う。その行動は彼自身にも多大なダメージを与えているようでしたが、限界を迎えつつあるシリルにはそれ以上のダメージを与えられているようでした。
「まだまだ!!」
着地の際に足首が通常よりも曲がっていたにも関わらず、それを気にすることなく彼は再度攻撃に転じようとしました。私はそんな彼の背中にしがみついてーーー
「待って!!シリル!!」
今まで出したことがないほど大きな声を張り上げました。
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