二人ならきっと
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「レオン!!」
これはもう見ていられなくて彼に駆け寄る。治癒の魔法をかけようとしたところで、レオンは立ち上がると、あたしの頭に手を乗せる。
「カッコ悪いとこ見せてごめん。でも、最後には俺が必ず勝つから」
いつもの彼ならそれを聞いただけでカッコいいと思える。でも、今は違う。押されてて頼りないとかではない、彼のその表情がティオスに似てきていることが恐ろしくて仕方がない。
「レオ・・・」
止めるべきだと声をかけようと思った。でも、彼のその形相に思わず伸びかけた手を下ろす。今声をかけるのは彼のプライドに響くのではないか、そうなると彼があのようになってしまうのではないか、色んなことが脳裏を過る中、あることを思い出した。
『どうして何も言わないの!?レオン!!』
『っ・・・』
初めてティオスと会った時、レオンと勘違いしたあたしは彼にしがみついて声をかけ続けた。彼はそれに答えることはしなかったけど、明らかに他の人たちへの反応と違うのはわかった。
「もしかして・・・」
ティオスの時代ではあたしはきっと死んでいる。そしてそのことによってレオンは感情が抑えきれなくなってあのようになってしまった。そう考えるとあたしがやるべき行動は自ずと見えてくる。
「レオン」
「大丈夫!!大丈ーーー」
一人で戦い続けようとする彼の背中を抱き締める。突然の出来事に彼は静まり、あたしに視線を向ける。
「あたしはいつでもレオンと一緒にいる。ううん、いつでもレオンを支えるし、レオンのことも助ける。だから・・・」
彼の背中から離れ、彼の頬を両手で押さえ、そのまま唇を重ね合わせる。突然のことに目を白黒させているレオンだったけど、あたしは気にせずそれを離すと、今の想いを告げる。
「あたしをあなたの横にずっと居させてください」
あの戦いの後、あたしたちは付き合い始めた。いつどうなるかわからないとお互いに感じたこともあるし、あたしがレオンのことを好きだったことはちゃんと伝えられてたから。
でも、そこからあたしたちはおかしくなっていたのかもしれない。レオンは誰よりも優れた力があるからそれを見せつけるように常に圧勝してくれて、そしてあたしはそれを見て興奮しながら優越感に浸っていた。でも、今日の彼の表情を見てわかったことはある。
彼はどれだけ強くても普通の男の子なんだってこと。背も伸びて、魔力も上がって頼れる存在になったと思っていたけど、そうじゃないんだって。彼の精神は子供の頃に一度打ち砕かれていて、不安定になりやすい。それを支えて上げられるのは、あたし以外にはあり得ない!!
「やろうレオン!!二人ならどんな相手だって倒せるよ!!」
あたしが手を差し出すと、彼はキョトンとした表情をしていたけど、
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