(4)判決文を読んでいないので
[8]前話 [2]次話
「山下さん」
外出先から戻ってきた亀男が、部屋に入ってきた。
「なんだい」
「『もう裁判は終わりましたよね?』と言われているんですが」
ふむ、と泉が顎を触る。
席を立ちブラインドの隙間から外を見る。
詰めかけてきている人が、さらに増えていた。メディア関係者だけでなく一般市民も多くいるようだ。SNSでも大炎上してしまっていることが効いているか。
そしてもちろん、先頭にいるのは例の女性記者である。
『山下議員、いい加減にコメントを』
と書かれているプラカードをかかげていた。
「よし。ここは『判決文を読んでいないのでコメントは控えさせて頂きます』の出番だな」
「なんかネタが尽きている感がありますけど、大丈夫です?」
というか判決文なら昨日弁護士から受け取って一緒に読んだじゃないですか、と亀男が肩をすくめる。
「大丈夫大丈夫。そろそろ向こうも飽きるだろう」
「裁判に勝ったのなら普通にきちんと説明しては? と思うんですけど。ママ活自体に違法性はないわけですし」
「政治家はコメントを控えることが大切。そしてイメージも大切だ。うやむやにしたほうがいいだろ」
「はあ」
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ