第九話 風使その十二
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「天の龍を全て倒したうえで」
「人間は滅びますね」
「そうね、けれどね」
「それでもですね」
「私は決めているから」
「お姉さんをですね」
「救うと。そして貴方が地の龍でよかったわ」
牙暁にこうも言うのだった。
「私達の一族でもあって」
「地の龍の一人であり」
「夢見でもあって」
「これも運命ですね」
「その運命に感謝するわ」
微笑んでの言葉だった。
「だからね」
「それで、ですね」
「貴方の力も借りて」
そうしてというのだ。
「戦っていくわ」
「わかりました、では」
「ええ、これからもね」
「ことを進めていきましょう」
「そうしましょう、そして姉さんには」
強い決意を込めた顔で話した。
「何があってもよ」
「知られないですね」
「私は姉さんを憎んでいる」
「その様にですね」
「姉さんにはね」
「あくまで通しますね」
「そうよ、地の龍の皆には本心を見せても」
そうしてもというのだ。
「姉さんにだけは」
「お見せする訳にはですね」
「いかないから、若し見せれば」
「丁様も動かれます」
「すぐに気付いてね」
「そうされるので」
「私は決してよ」
姉である丁だけにはというのだ。
「本心は見せないわ」
「即ち本来の目的も」
「そうするわ」
「そのことについても」
「協力してくれるのね」
「そうさせて頂きます」
牙暁は畏まって応えた。
「僕は地の龍であり貴女の友達ですので」
「友達ね」
「違いますか」
「いえ、そうね」
今度はだ、庚は微笑んで話した。
「そうなるわね」
「そうですね」
「こうして普通にお話してね」
「共に行動してですね」
「絆があるから」
「そして他の地の龍の人達もです」
「友達ね」
まさにとだ、庚は微笑んで頷いて応えた。
「そうね」
「左様ですね、ですから」
「ええ、ではね」
「僕達はです」
まさにと言うのだった。
「共に生きていきましょう」
「友達もずっといなかったけれど」
庚はこれまでの過去のことを思い出した、生まれてからのことを。思えば長い間夢に出て来る姉以外はだった。
見向きされなかった、そのことを思い出し今を振り返って話した。
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