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第九話 風使その八

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「私達もよ」
「地の龍が揃ってきているのですね」
「そうよ、そしてお互いが揃ったなら」
「戦うのですね、どうしても」
「そしてね」
 丁に微笑んで話した。
「その時こそよ」
「どうしてもですか」
「そうよ、そして必ずね」
「天の龍を全て倒して」
「そのうえでよ」
「人間もですか」
「そうね」
 一瞬、ほんの一瞬だった。
 庚は視線を右にやった、そのうえで姉に話した。
「そうしたいわ」
「そうですか」
「姉さんが苦しむなら」
 また笑って話した。
「私は何でもするわ」
「庚、貴女はどうして」
「ずっと姉さんだけが大事にされて」
「貴女はですか」
「除け者だったからよ、姉さんにはわからないわ」
 こうも言うのだった。
「除け者にされた者の気持ちは」
「庚、貴女は決して」
「姉さんは夢見よ、我が家の嫡流で」
 そうした立場でというのだ。
「歴代の総理大臣の身代わりでもあってしかもその五感は動いていない」
「私は望んでは」
「姉さんが望んでなくてもよ」
 感情なく淡々と言うのだった。
「姉さんはそうでもあってよ」
「私だけがですか」
「大事にされて私は」
 自分はというのだ。
「除け者だったからよ」
「その様にですか」
「するし言うわ」
「私を苦しめる為なら」
「何でもね、だからこそ姉さんの元を離れて」
「地の龍を束ねる立場となって」
「我が家の傍流のね、傍流だから」
 この立場だからだというのだ。
「私が家を継がせてもらうまでは大人しくしていたけれど」
「地の龍はこれまでです」
「静かにしていたわね」
「代々。本来ならです」
「一九九九年七月になろうともね」
「静かにしていてです」
 そうしてというのだ。
「人間も地球も滅ばない様にしていましたが」
「わかるでしょ、地球はもうよ」
「もたないというのですね」
「だからよ、私はそのことを感じてよ」
「私から離れて」
「傍流の家を継がせてもらってね」
「すぐに動いたのですね」
「そうよ、姉さんを苦しめて」
 それと共にというのだ。
「人間もよ」
「滅ぼして地球をですか」
「救うわ」
「そうですか」
「きっとね、だからこそよ」
 姉と正対してさらに言うのだった。
「あと三人。来てもらって」
「その時は天の龍と戦って」
「私達が勝ってよ」
 そのうえでというのだ。
「姉さんの苦しむ姿とね」
「人間の滅亡をですか」
「見させてもらうわ」
「どうしてもなのですね」
「ええ、楽しみにしておいてね」
 是非にという言葉だった。
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