第一章
[2]次話
象のお辞儀
タイのチャチューンサオ県サナームチャイケート郡でだった。
一匹の子供の象がぬかるみに足を取られて困っていた、それを見てだった。
地元で働いているピーニャ=チャッカチャチャーンは妹にマーニに言った。
「どうする?」
「どうするって助けないと」
まだ小学生である妹はその黒い大きな目で痩せた顔に明るい頬が出ている表情で背の高い兄に言った。
「駄目でしょ」
「困ってるとか」
「そうよ、人でも象でもね」
「よし、じゃあな」
「助けましょう」
こう言って兄を引っ張る様にしてだった。
二人で象のところに言って象の足に手をやって助けてだった。
象の足をぬかるみから出して助けた、すると。
「パオン」
「おや、この象」
「そうね」
二人は象が自分達に向けて長い鼻を挙げたのを見て思った。
「お礼ね」
「それをしたんだな」
「ええ、そうね」
「これはな」
二人はそのうえで去っていく象を見て思った、象が自分を助けてくれた二人にお礼をしたのだとだ。
この話だ、ピーニャは仕事中で車を運転しつつ同僚に話したが彼よりやや小柄な同僚はこう彼に言った、車はピーニャが運転し彼は助手席にいる。
「象は賢い生きものだからな」
「そんなこともあるか」
「だろうな」
こう彼に話した。
「それで生きものを助けるなんてな」
「いい妹だろ」
「そうだな」
こうした話をしながら道を進んでいると前にだ。
象の群れが道路を横切っているのが見えた、それを受けてだ。
ピーニャは車を停止させて同僚に言った。
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