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第九話 風使その一

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                第九話  風使
 征一狼はこの時職場にいた、そうしてだ。
 自分の机にかけてある写真を観てだ、自然と微笑んだ。職場の女性社員がその様子を見てこう言った。
「奥さんとですね」
「はい、娘です」
 征一狼は社員にも微笑んで答えた。
「僕にとってかけがえのない」
「ご家族ですね」
「奥さんに出会えて」
 そうしてというのだ。
「娘も生まれて」
「幸せですね」
「ですから」
 そう思うからだというのだ。
「この幸せをです」
「ずっとですね」
「永遠に」
 まさにというのだ。
「続く様にです」
「されたいですか」
「そう思っています」
 こう言うのだった。
「僕としては」
「やっぱりご家族はですね」
「大切なものです」
「蒼軌さんはそう思われますね」
「そうとは」
「いえ、中にはです」
 社員は征一狼に彼の傍に立ったうえで話した。
「家庭を大事にせず」
「顧みない人もですね」
「おられますね」
「そうですね」 
 征一狼は暗い顔になって応えた。
「中には」
「そうですよね」
「お仕事もいいですが」
「そればかりで」
「他には何も興味がなくて」
「お仕事以外には」
「お仕事でなくとも」
 その他にもというのだ。
「溺れるものがあって」
「それで、ですね」
「大切なものを忘れてしまっている」
「そんな人もいますね」
「僕はそうした人になりたくないです」
 絶対にとだ、征一狼は話した。
「何があっても」
「では蒼軌さんにとって大切なことは」
「家族と」
 その二人の写真を観つつ答えた。
「そしてです」
「それにですか」
「人間と皆との絆も」
「大切なものとですか」
「思っています」
 そうだというのだ。
「僕は。その全部をです」
「大切にされていますか」
「そして護りたいです」
「全部をですね」
「はい、実は最近お友達が何人か出来まして」
 天の龍の彼等の話もした。
「彼等もです」
「大切にされたいですか」
「ずっと」
 家族と同じ様にというのだ。
「そうしていきたいです」
「お護りして」
「僕なんかの力は微々たるものですがね」
 少し自嘲めいた笑顔を浮かべて話した。
「出来る限りです」
「いやいや、そのお気持ちがです」
 女子社員はその征一狼に話した。
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