第八十九話 遊ぶことその十四
[8]前話 [2]次話
「だからね」
「その頃からですか」
「恋愛を経験してもね」
「いいんですか」
「それにもう昔は私達の年頃ならね」
先輩は咲にさらに話した。
「結婚もしてるでしょ」
「江戸時代とかそうですね」
咲もこのことは知っていて素直に答えた。
「天理教の教祖の方も十三で結婚されてますね」
「そうでしょ、もう私達の時には家庭持っていたのよ」
「十五とかで」
「そうした年齢だから」
「恋愛を経験してもですか」
「いいのよ」
咲のボールを受け取りつつ答えた。
「そうしてもね」
「そうですか」
「だから咲っちも」
咲にボールを投げ返してから言った。
「恋愛を経験してもよ」
「いいですか」
「そうよ、ただいい人を好きになってね」
先輩はこのことは忠告する様にして話した。
「碌でもない奴はね」
「好きになったら駄目ですね」
「地獄見るからね」
「人生に悪影響も出ますね」
「どうしようもない屑も世の中にはいるからね」
「そうしたことも最近お話します」
また咲は答えた。
「悪人のことを」
「ヤクザ屋さんとかチンピラとかね」
「そういう手のですね」
「もう世の中にいたら駄目な様な」
そこまでのというのだ。
「根っからの屑もね」
「世の中にはいますね」
「それでそうした屑とはね」
「絶対にですね」
「お友達になるだけでも駄目だから」
「恋愛なんてですね」
「何があってもよ」
それこそというのだ。
「駄目よ」
「そうですね、やっぱり」
「わかってるわね、咲っちも」
「高校入ってバイト先や従姉のお姉ちゃんともお話してますし」
「いいことよ、そのお話肝に銘じて」
そうしてというのだ。
「いい恋愛をすることよ」
「いい人とですね」
「屑じゃなくても悪い人を好きになったら」
その場合はというと。
「やっぱりね」
「地獄見ますか」
「そうなるから」
だからだというのだ。
「絶対にね」
「いい人と恋愛をすることですね」
「好きになってもね、いい人との恋愛は失恋してもよ」
その結末で終わった場合もというのだ。
「その時は傷付いても後でいい思い出になるから」
「いいんですね」
「そうよ、だから咲っちもね
「いい人とですね」
「恋愛をしてね」
こう咲に話すのだった、そのうえで二人でプールの中で水球のボールを使ったキャッチボールをしていった。只の遊びだったが咲には貴重な会話となったことがわかったのはずっと後のことであった。
第八十九話 完
2022・12・1
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ