外典 【NARUTO:RE】
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…なんで…どうして…
と、この地上で生きているだろう最後の女性は月を見上げていた。
満身創痍で地面に転がってはいるが、見ればかなりの美人だろう.
しかしあちこち傷だらけで、また体の部位欠損も目立つ。
体はとうに動かせず、流れる血は止まる事を覚えない。
彼女達は負けたのだ。
この星の外から来た何者かに。ただ刈り取られる稲穂の如く搾取された。ただそれだけの事。
「どこで間違えたのかな…」
呟いてみても誰からの返事は無い。
「あの人がいれば…」
突然いなくなったあの人。幼かったわたしの初恋。あの人がいればこんな事態も何とかしてくれたのかな…
地上に残った最後の人の子よ。
「だ…れ…?」
声が聞こえた。空耳かもしれないが、いまわの際の声にしては妙に年より臭い声で、どこにもときめく所がない。
この結末を受け入れるか?
「そんな…わけ…ないでしょ…」
こんな結末、受け入れられるわけがない。
ならばどうする?
どう?そんなのわたしに分かる訳がない。
皆を生き返らせて?
生き返った所で勝てない相手だ。
敵を倒して?
今更だ。もう遅い。
だったら…
「時間…時間をもどして…」
時間を戻しても結果は大きく変わらないかもしれないぞ。
「あの人…あの人がいればきっと…」
ふむ、そこまで信じられるのか。ならば試してみるが良い。
「え……っ」
夜空に浮かぶ月が真っ赤に染まり、そこに同心円の波紋と勾玉が浮かんでいた。
聞くが、お主の言うあの人とはどうして居なくなったのだ?死か?
「死んだ…訳じゃ…ないわ…この世界からいなく…なったの…よ」
息も絶え絶えに答える女性。
ふむ、それはちと厄介じゃの…居なくなったとは…なるほど、この世界からか。
「時間を戻してもあの人が居なければ…意味はない…わ」
なるほどのぉ…ワシとも多少の縁もあるようだ。これなら魂の一部の口寄せも出来よう。
紅い月が輝きを増すと、辺りの景色が歪んでいく。
これが出来るのは一度じゃぞ。
二度目はないと老人の声が言う。
「たった一度でも…もう…一度…チャンスが…あるのなら…」
ならば行くが良い。
辺りの景色が巻き戻っていくようにその女性は感じた。
だが、その女性は知らぬ事だがそれは時間を巻き戻した訳では無かった。
月を利用して地球そのものへと幻術を掛けたのだ。
結果を否定し、都合の良い結果を選び取り、すべての者にそうと気づかせない幻術を。
それは地球が見る夢。一瞬の幻想なのかもしれない。
女性の意識はそこで途絶えた。
女性には見えなかったがそ
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