第二部 1978年
影の政府
奪還作戦 その1
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に呼び出すことができる。
だが、鉄甲龍に美久が捕まった際、アンドロイドと露見したように、KGBにも知られる可能性がある。
万に一つのことを考えて、マサキはKGB、いやベイルートにいるテロリストもろともソ連の関係者を抹殺することにしたのだ。
「なあ、先生。この俺じゃあ、役不足かい」
「フフフ、俺は貴様のことを知らぬからなあ」
「鎧衣の旦那には、負けない自信はあるぜ。
それと、イスラエルに頼んで、陽動作戦用の武装ヘリと戦術機隊を用意しましょうか」
「その必要はない。天のゼオライマー、それ一台があれば、すむ。
それにユダヤの連中は法外な値段で吹っ掛けてくるだろう。
人手を借りるにしても、金を借りるにしても、高くつきすぎる。
分解整備中のゼオライマーも何時でも稼働可能なように、準備してくれ」
マサキの発言に、白銀は信じられない顔をして、問い返す。
「ここから、一万キロ以上離れた、シアトル郊外のタコマ基地に連絡するのかい」
「ああ、それさえ準備すれば、最高のダンスパーティができる。ハハハハハ」
ヨルダン訪問の翌日。
マサキたち一行は、ソ連の意表を突くため、陸路でレバノンに乗り込むことにしたのだ。
日章旗を着け、機関銃で武装したランドクルーザー55型の車列は、ダマスカス経由でベイルートへ向かった。
ダマスカス郊外に、近づいた時である。
すると、轟音一声、たちまち上空から黒い影が車列の上に現れた。
なお街道の附近にある丘の上には、象牙色と深緑の砂漠迷彩を施した数台の戦術機が地ひびきして降ってきた。
その様を見て居た御剣は、即座に指示を出す。
「戦うな。わが備えはすでに破れた。ただ損害を極力少なくとどめて退却せよ」
車列の後ろにも、赤、白、黒の円形章を着けたMIG-21が一台下りてきて、ふさぐ様に立ちすくんでいた。
万事休すか。
誰しもが、そう考えた時である。
砂地に着陸した戦術機の管制ユニットが開き、ソ連製の機密兜に強化装備をつけた男たちが下りてきた。
ソ連製の強化装備の左腕につけられた国家識別章は赤、白、黒の三色旗に、緑の星が二つ。
アラブ連合共和国の国旗を起源とするシリア国旗だった。
白旗を持った衛士の後から、強化装備姿の偉丈夫が近づいてくると、ゆっくりと機密兜を脱いだ。
男はマサキのほうを向くと、手招きしてきた。
男の正体は、シリアの大統領だった。
彼は、空軍パイロット出身であったので、戦術機に乗って陣頭指揮を執ることがあったのだ。
マサキは、その話を聞いてあきれるばかりであった。
古代より陣頭指揮は、士気を鼓舞できるが、常に戦死や捕虜の危険性がある諸刃の剣。
電子戦の発達した現代で、国家元首が最前線に立つのはどれだけ危
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