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冥王来訪
第二部 1978年
影の政府
熱砂の王 その5
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の美女を差し出す必要があるのかね」
「よし、見て居ろ。今度は徹底的に黄色猿(マカーキー)の奴らを懲らしめてやるぞ」
 「ソビエツカヤ・ロシア」艦長の海軍大佐は、GRUの工作員をなだめる。
「焦るな。性急な作戦は自ら墓穴を掘るようなものだ。
今度の作戦は、GRUの威信がかかっている。絶対に失敗は許されんぞ」
じろりと、艦橋の中にいる戦闘指揮要員を見回して、
「日米を、西側の目を、アデン湾の入り口である、この南イエメンに向けさせておくのだ。
ベイルートでの、我らが存在を悟られないためにな」


 そのベイルート港では、何やら巨大な建造物の作業が急ピッチで進められていた。
スフォーニ設計局が開発した最新型のSU-15戦術機が、この場所で秘密裏に改修が行われている最中であった。
 ベイルート港の1区画にある、KGBの秘密基地に連れ去られた美久は、KGBの尋問を受けていた。
彼女は、着ていたボアのついた革ジャンやブラウス、ジーンズを脱がされて、強化装備に着替えさせ、両腕と両足を縛れて、天井から宙づりにさせられていた。
強化装備にはもともと、着用者の生体情報(バイタルデータ)を収集させる機能が備え付けてある。
準備に煩わしい心電図モニターや医療機器を準備しなくて良い面もあろう。
 KGBとしてはなによりも、赤裸(せきら)にさせるより、羞恥心を感じさせ、美久を早く篭絡させる目的で、わざわざ美久を着替えさせたのだ。

 盛夏服姿の女性職員が心臓マッサージ用の電気的除細動器のダイヤルを回す。
(盛夏服は、ソ連軍の勤務服の一種。シャツとスラックス、婦人兵はシャツ、スカートからなる略装)
電気ならば、簡単に刺激が与えられ、なおかつ外傷も残りにくい……
成人の心室細動に対する設定は150J以上が推奨される、この機器を用いて拷問をすることにしたのだ。
 無論、放電の効果を高めるためにジェルや専用のシートを張り付けるのだが、強化装備の特殊保護被膜がその代わりを果たす為、KGBは用いた。

 女職員が無言でパドルを美久の両方の乳房に押し付ける。
その刹那、30Jの電流が美久の全身を駆け巡った。
「うぅぅ……」
焦点の定まらぬ目を見開き、虚しく首を左右に振るばかりであった。
「さあ早く、ゼオライマーの秘密を吐け」
そういって、ダイヤルを回して、50Jに電流を上げる。
美久は流れ出る電流から逃れようと、苦しげな声を上げて、(もだ)えた。
「うふぅ……くふぅ……あぁぁぁ」
女職員がパドルを両胸から離すと、もどかしげに身をくねらせる美久の耳元で、
「木原が、単独でゼオライマーを作り上げた。嘘よね」
英語でささやきかけ、まくし立てる様に尋問を続ける。
「さあ、本当のことを吐けば、楽にさせてあげるわ」
首をうなだれた美久は、肩
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