第01部「始動」
第09話
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ベースにも登録がない。確認が出来ているA級ジャンパーは数が少ない。
この前の反乱でその影が見えたが、それが誰だったかは調べられなかった。しかし、捕らえられた元同胞からテンカワアキトの名が出てきた。
前大戦で、争いを治めるのに一役かった有名人だった。心もと俺は彼の事は友好的に見ていた。
あのまま戦争が激化すればどちらも痛手を食ったはずだ。我々の制裁の第一歩である火星攻撃を経験していた彼が、憎んでいる筈の木星との戦争を精力的に止めようとしているというのは衝撃的だった。
それなのに、聞き出したのはあのコロニー襲撃のエステバリスのパイロットがテンカワアキトだったという事実。
最初は嘘だと思って調べに調べた。すると出てきたのは、飛行機事故で死んでいたという事実と、テンカワアキト本人と思わしき音声通信の記録…火星の後継者に残された記録に、アマテラス襲撃時に直接回線を繋げた会話の録音から声紋照合した結果、彼が生きていると分かった。
どうしてこうなったのかは知らない。それを知る前に自分は担当を外された。
「分かった。オペレーターはこのまま通信は続けろ。第一級戦闘配備だ」
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…どういうこと?
「くそっ。いったいどこのどいつだい…」
珍しく髪に指を梳かして眉をしかめて毒づく。
私たちの計画じゃ軍に従ったと見せかけて、事前に彼自身が仕込んだ手段で脱走する手はずだった。
そのために色々準備をしていたのに、この状況じゃ彼も迂闊には動けない状況になっている可能性が高い。
「ラムダ。アキトくんは何て言っていたの」
「はい。このまま計画通りに行くと」
…危険ね。約束はしたけど、いざ感情に囚われると、彼は後先考えない。直ぐに変われるとも思えない。もしあれがそうなら…
「保険をかけておいて正解…だったかもね」
「そうだね」
「保険…ですか?」
何のことと、ラムダが聞いてくる。彼とずっと一緒にいた彼女?には分からないか。
「ええ。何のためにアナタと彼のリンクを繋いでいると思っているの?」
「マスターの補助をするためではないのですか?」
「違うよ。正直なところこの距離なら、ラピスくんでも彼とのリンクはなんとかなる」
「ちょっ」
「それ、ほんとう?」
ラムダが彼とリンクで会話をしているのを、じっと見つめていたラピスが視線を会長に向ける。
「えっ?あ、いや。でも、ほら。やっぱり無理は良くないよね。アキトくんもラピスくんに無理させたくないって言っていたし」
言うが遅い。瞬きをしないラピスの視線を一身に浴びる。心底居心地が悪いと思う。っというか、少し怖い。
「ほんとう?」
「だからね。違うんだよ。ほらこんな風に計画が変わってきたとき何日過ぎるか分からないし。ラムダなら疲れないだろ?だからさ」
慌ててその場し
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