第八十三部第三章 今だ目覚めずその三十八
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「その時はだ」
「まさにですね」
「終わりだ」
「だからですか」
「第二次防衛ラインを突破してもな」
「まだですね」
「油断は出来ない、サマルカンドまで追い詰めても」
敵の首都星系までというのだ。
「それでもだ」
「まだ、ですか」
「勝利は戦争終結の条約が結ばれるまでだ」
まさにその時まではというのだ。
「戦争は続いている」
「だからですね」
「サマルカンドまで至りだ」
「そこでの会戦となっても」
「まだだ」
その時でもというのだ。
「油断は出来ずな」
「逆転される危惧を胸に」
「戦いだ」
そしてというのだ。
「勝たねばならない」
「最後の最後まで、ですか」
「先程第二次防衛ラインを粉砕すれば勝利は決すると言ったが」
自分のその言葉についても言うのだった。
「決してもそれはだ」
「絶対ではですね」
「ない」
決してと言うのだった。
「それはな」
「決するというが」
「それでもですね」
「私、つまり人が思うことでだ」
「この世のことであるので」
「この世のことは人が決めてはいない」
人がどれだけ努力しようともというのだ。
「決められるのはな」
「アッラーですね」
「そうだ、私はそこで趨勢を決めるが」
戦争のそれをというのだ。
「だがそれもアッラーの思し召しにより変わる」
「我がオムダーマンが有利になろうとも」
アルマザールが述べた。
「しかしですね」
「そうだ、それもだ」
「アッラーの思し召しで」
「変わる、若しティムールが勝つことがだ」
「アッラーの思し召しならば」
「最後の五分でもな」
まさにそこで勝敗が決する、その最後の瞬間でもというのだ。
「変わるものだ」
「逆転しますね」
「過去そうした戦争は多かったな」
「確かに」
サハラ千年の戦乱の中ではままにしてあったことだ、滅亡寸前だった国が逆に勝者となったこともだ。
「それは」
「だからこの度もだ」
「若しもですね」
「我々が第二次防衛ラインで勝利を収めてもな」
「そしてティムール軍の戦力を奪っても」
「それでもだ」
「最後の一瞬で、ですね」
アルマザールも述べた。
「優勢、それが絶対的なものであっても」
「覆る」
そうなるとだ、アッディーンは話した。
「そうなってしまう」
「では戦争は」
「終戦の条約を結ぶ」
「その時まで、ですね」
「決まらない、だからその時までだ」
「全力を尽くしますね」
「アッラーは全てを決められていて」
そしてというのだ。
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